第34章 knit
ー研磨sideー
あーもう疲れた…
でも、今、コートでは翔陽が試合してて。
観たい。 って思う。
クールダウンも着替えも済ませて、携帯をみる。
【研磨くん、おめでとう!大好き!xxx】
…このxxxってなんなんだろうって思って。
穂波が海外とか行ってて会えない時のメールや葉書に大体書いてある。
この間周平に聞いたら キス だって言ってた。
なんだそれ。って言ったら、
まぁ穂波の感覚的には 会いたい会いたいすきすき大好き! って感じじゃね?
って言われてちょっと納得できた。
…たしかにそんな感じする。
…電話しよ
『もしもし』
「…ん。 これから客席行って試合みる」
『うん』
「…どこにいる?」
『わたしを研磨くんが探すより、
わたしが音駒ジャージを探す方がきっと簡単だからわたしが見つける』
「…ん」
おれだって別に穂波のこと見つけれるけど…
でも、多分おれに翔陽の試合見てほしいとか思ってるし、
あとまぁ単純に、確かに赤いジャージの団体見つける方が簡単そうだし、とか。
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穂波は本当におれをすぐに見つけて、
控えめに抱きついてきた。
それから鼻をすんすんさせてた。
…試合、一緒に見るものだと思ってたんだけど。
夜久「あれ、研磨穂波ちゃんは?」
「…なんか会いたい人がいるんだって」
夜久「はっ? 試合後の研磨以上に会いたい人がいるの?」
「………」
クロ「………」
「北さんっていうおばあさんだって。
トイレで会って話して、一旦分かれたけど会う約束したし、会いたいんだって」
夜久「…なんだそれ。 ほのぼのかよ」
クロ「気が抜けるわ… この人の多い会場で誰か他に出会っちゃったかと思ったら」
「…ん」
『研磨くんに会えたから、次は北さんのところ行ってくるね!
研磨くん、翔陽くんの試合、楽しんでね!
あああ、翔陽くんを見てる研磨くんを見たいって思うともうどうしよう…
もう一人わたしがいたらいいのに…』
とか言ってた。
…思いの外あっさりどっか行っちゃったけど、
少し会えただけで回復するし。 体力じゃないけど… 何か回復する。