第34章 knit
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2セット目。
盗み聞きしてしまった
後ろにいるカップルのさっきの会話を踏まえて観てる。
…たしかに早流川高校に意図的に走らされてるんだなという方が多いけど
時々、あれ、これって…?っていうところがある。
レシーブのレベルの高い音駒が、
そして相手の攻撃や相手のプレースタイルみたいなのに
どんどんと慣れて攻略、対応していくのが早い音駒が、
ここで、そこに返球?っていうことが。
例えば今の、クロさんのレシーブ。
2セット目中盤、
もうきっと相手の攻撃には慣れてるはずのクロさんがライト寄りに返球した。
研磨くんはキュキュっと走ってボール下に行く。
…この、これに違和感というか。
そしてそれが得点につながってることが、何よりの… 証拠?
…ってわたしは一体何をしてるんだ。
推理小説じゃないんだから。
バレーバレー。
でも、返球位置がずれたことで、
リエーフくんにきっとトスが上がるって空気だった気がする。
そこでぽーんとレフトにいる福永くんにトスを上げて、
福永くんがばっちし、スパイクを決めてくれるのだ。
…ブロックを振るというか、 …んーわからないけど。
これで18-19。
一点早流川高校にリードを許してる。
「セッター?…が体力無いって分かってたら、
優たちも狙えば良かったんじゃないの?」
…おやおや?
音駒と対戦したことのある学校というか、
どうも音駒をよく知ってる学校っぽいなぁ。
でも今振り返ったら、うるさいとか思ってるって思われて、
話が終わっちゃったらいやだし…
かと言って続けてください!とか言っても喋りにくいだろうし…
我慢我慢。
「あー 狙うって言ってもね、
セッターって基本的に2番目にボール触るポジションだからさ、
セッター以外ならサーブで狙うとかってのは常套手段だけどね。
ああやって間接的にじわじわ圧かけるって、相当根気も勇気も要るよ。
あと、音駒のカウンターを受けられるだけの守備力もね」
ほぅ、そうだよね。
たしかに。
音駒、音駒、研磨くんがんばれってなってたけど、
相手チームのことも冷静に観ないと。
っていうか、後ろの彼よ!
本当にわかり易いです!ありがとう!!
もっと聞かせて!