第33章 求肥

ー治sideー






「お前、今日あの子に話しかけとったやろ！」






あの子、て。
名前知らんのかいな。







「なんやツム、あの子って誰？」

「あの子はあの子や！他の女にも声かけとるんやったら、あの子からは手ぇ引きぃや！」

「…いや、俺そういうん間に合うてるし。
ほんまにええな、思た子にしか声かけへんし。
なんやツム、名前教えてもらわれへんかったん？」

「あほか！向こうから名乗ってくれたわ！」
（前会うた時、聞き忘れとったからやけど…）





…なんや、つまらんの。
俺、先に名前呼んでもーたしな。






「ほんで、だからなんなん」

「穂波ちゃんは俺が先に見つけたんやからな！」

「先も後もあるかいや、そんなんどっちでもええわ」

「…お前、連絡先聞いたか？」

「聞いてへんよ、明日も会えるしな」

「あー腹立つ！そういうとこ、なんか似てるんちゃうん？って何言うてんねや、俺！」

「ツムは聞いたん？」

「聞いたけど、教えてくれん」

「…しょぼ」

「…あ"ーー！？」

「そんなんしょぼいの他に何があるん。俺、明日聞いてみるわ。
すぐ教えてくれるかもしれん、話盛り上がるしな」

「俺も聞いたるわ！絶対俺が先に聞いたる！」

「ツムはもう聞いたんやろ。　そんで教えてもらわれへんかったんやろ」

「それはちゃうねん、なんていうかあれやねん…
俺が嫌だからやのーて、そういう方針みたいな感じで教えてくれんのや」

「…方針て、なんそれ」





なんそれ、言うたけど何か想像つくわ。






「あーーーー！またやってもうた！」

「いちいちうっさいわ」

「どこの子か聞いた？」

「…聞いたけど、なんかぼんやりさせられたわ」

「何やそれ、お前も大概やん。　…しょぼっ」

「はぁ？　お前も聞いたんとちゃうんか」

「聞いたは聞いたけど、話が盛り上がんねん。それで、何や違う話になってまうんやて」

「あーわかんで。　あの子そういう感じやんな」

「そーやねん。　めっちゃええ子やねん。
話おもろいし。　かわいいし。　やらかいし。　ええ匂いするし」

「は？　なにそれお前どーゆーことなん？」






なんなんやらかい、て。
どこ触ってん。
ふざけんなや。