第33章 求肥
ー昼神sideー
そろそろ光来くん探しに行くかな、とか思いながら
まだ時間あるから帰ってくるの待つか…って立ってたら
背中に誰かがぶつかってきた
振り向くと真っ直ぐに俺を見上げる、かわいらしい子。
…なんだろな、動物みたい。
世話を焼きたくなる動物じゃなくて、
大自然の中でのびのびと
陽光の中なり、水の中なり、森の中を動き回ってそうな感じ。
自分の面倒は自分でみて、その姿が美しくて…
しかも話しやすいな、肩の力抜けてて。
…この子は俺と違って、天性のこっちのタイプだな。
『幸郎くんって、話しやすいね。 いろんな人にそう言われる?』
「あぁ、うん」
今となっては。
『…でも尖ってたこともある?』
「んー、まぁそうとも言える時代はある」
『…時代。笑 …なーんか安心する』
「お?」
脈あり?っていうか逆ナン?
『わたしの好きな空気を持ってる。…でも、ちょっと違う』
「…笑 なにそれ、上げて落とすやつ?」
『あ、ごめん違う。
よく知ってるそれとはちょっと違う。
もともとじゃなくて、もう一個先?前?奥?を知ってる感じ』
「ん?」
『肩の力が抜けてるんじゃなくて、
肩の力の抜き方を知ったというか、抜きどころを知ったみたいな感じする』
「………」
おー。 すごい、何でそんなことわかるんだろ。
『…わ、ごめん 会って数分で気持ち悪いね』
「…いや、あながち間違ってないし、気持ち悪くないよ。続きが聞きたいくらい」
『…きっとたくさんの人をこれからすーっとした気持ちにしていけるんだろうな、って』
「………」
『肩の力がもともと抜けてる人にはわからないものも理解できる。大きいよ。寄り添える幅が違う。
あ、もともと抜けてる人を否定してるわけではない。
最近いろいろ考えてたから、語りすぎたごめんね』
「…最近いろいろ考えてた?」
『あ、ううん、それはいいよ。長くなる』
「…俺も、穂波ちゃん安心するよ
大自然を知ってる安定感。 え、大自然知ってる?」
『あはは!多分知ってる、海とか山とか雪山とか』
お。山と雪山も入ってきた。
ぱっと見、海は決定って感じだったけど。