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【ハイキュー】   “波長”   【孤爪研磨】

第33章 求肥








ヴッヴッヴッ






ウエストポーチの中で携帯が鳴ってる。
手には小さな紙袋を持っていて、
聖臣くんにもし会ったら渡そうと思ってたやつで、
くしゃってしないように、とか。
考えながら鞄を探りながら歩いてたら…







どすん







…あぁ、これ前にもやったよね。
はぁ、よそ見して歩いちゃった、またこんな人の多い場所で。








『ごめんなさい!よそ見してました…』







激突してしまったのは、
背の高い茶色の髪の毛の… あぁ、選手だ。 申し訳ない、益々。
背中に向かってひとまず謝る。

見上げたときにはもう、こちらを振り向いていた。

おぉ…かっこいい 肩の力が抜けている
ふわぁっとした空気感の、穏やかそうな人。






「…俺は大丈夫だけど、大丈夫? おでこ赤くなってる」

『あっ えっと、うん、はい!』

「…うん、はい!笑 そんな歳違わなそうだけどね。俺高2」

『あ、うん、一緒だ』

「………」





目の前の彼はわたしを見下ろししばし沈黙する。
…ていうか、試合あるんじゃないかな。
こんな、大事な時間を邪魔しちゃいけない。





「…野うさぎ」

『…へ?』

「…やっぱイルカ?」

『え?』

「…いや、アラビアオリックス」





…アラビアオリックス?
蛍くんと話が合う…かな、この人。博識?

  



「なんにしろ、大自然の中にいるやつ」

『なんの話?大自然の中、いいね』

「君の話。 俺、昼神幸郎。 君の名前は?」

『運天穂波です』

「穂波ちゃん、動物っぽいな、って思って。ペットじゃなくて、のびのびしてる方」

『へ?わたしが? ほぉ…』

「…あはは、かわいい」

『幸郎くんは、犬っぽいね。 …なんか、目かなぁ?優しい大型犬』

「あ、ほんとに? 嬉しいかも」





話しやすい人だなぁ…





『幸郎くんって、話しやすいね。 いろんな人にそう言われる?』









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