第33章 求肥
ー穂波sideー
「ナイスレシーブ!」
ここまで聞こえてくる、
芝山くん達の声。
粘ってる。繋いでる。
やっぱり音駒のバレー好き!
底力があって一歩一歩地味に地道に見せかけて時に奇襲もかけつつ。
何よりこの、なんだろうな…
側から見たら奇跡っぽいようなどんでん返しや、
延長の末に勝ち取った1セットも、
描かれていた流れの一部というか… そういうのをおもうとゾクゾクする。
研磨くんの頭の中に広がってる絵はわたしにはわからない、知り得ないけれど、
その一部だけでもこうして何となくみることができるのはおもしろい。
すきすき。
隣のコートでは2セット目も終盤で、
烏野がこのまま行けば勝てるんじゃないかな…という流れを感じる。
横目に見てるだけだし、こんな全国大会の場でこのまま行けば、とかはないか…
音駒も、烏野も頑張れ、頑張れ。
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気付いたら隣のコートでは違う学校の試合が始まっていて、
音駒も高知県代表の清川高校に勝ったところだった。
やった!2回戦進出!!
…高知 …四万十 波いいんだよなぁ…
水綺麗だし、川すごいし、山も美しいし、ご飯も美味しい。
人も気候もよい。 また行きたいなぁ…
そんなことを考えながらトイレへ向かうと、
隣のブロック? 隣の列? のとこに烏野の部員がちらほら見えた。
翔陽くんが小走りで階段を駆け上がり、山口くんがそれを追いかける。
蛍くんはアイマスクをして休憩していて、
影山くんは実際のところ何を考えてるかはわからないけど、
きっと傍目には眼光鋭い、やっぱオーラ違うわ、とか思われてるんだろうなぁという空気感。
微笑ましい烏野の一年生のそれぞれの様子を眺めてると、
「おー!穂波ちゃん!」
スガさんがこちらに気付いて手を振ってくれる。
旭さん、大地さん。
とことこと駆け寄って、少し話をする。