第32章 あわ
ー研磨sideー
1月1日(火)
正月。
「ぅーっす」
「…ん ふぁぁ………」
昨日も遅くまで起きてたから、眠い。
ゆっくり目を覚まして、
顔洗いにおりてきたついでに水を飲みにリビングに行く。
例年通り、どん!と部屋の扉を開けておれを起してから、
下に降りてこたつで正月番組をみてるクロがいる。
顔を洗って、着替えて…
財布と携帯持って準備オーケー…
「クロ、お待たせ」
「…おーし、じゃあ穂波ちゃん迎えに行くか。顔、ひでーな。笑 新年早々」
「ネムイ…」
初詣から帰ったら寝る。
明日からまた部活だし明明後日はもう春高だ。
行ったり来たりになるけど、
まぁ他にすることもないしってクロが言うので
穂波ん家まで迎えにきた。
することないって、寝れるじゃん…って思うけど穂波ん家だし。
着物だし。 みたいな、猿みたいな理由。
…いや、猿なら睡眠をとるかな。
「何考えてんの?」
「猿みたい、って貶すときに使いがちだけど、
自然の摂理にかなったことをしてるってことなのかなって」
「………」
「ふぁぁ………」
・
・
・
…かわいい 華やか
着物着てるのに天真爛漫な感じが一層引き立つとか…
なにこれほんと可愛いんだけど
「…笑 研磨、お前すぐ顔に出るとはいえ、
これほどまでにわかりやすかったっけ?」
迎えにきて、心さんにお茶飲んでってーって言われて、
どうせならお抹茶飲んでくー?ってなって、
でも和室とかじゃなくて普通に、ダイニングで。待ってるとこ。
穂波がかわいい。
浴衣の時はわりあいさらっとしてる感じがしたけど、
ハレの日だからか、冬だからか、
いっぱい色があるし羽織とか着物の下とか重ねてる感じがまた… かわいい。
極め付けは、足袋。 何これ、なんで隠れてるのが嬉しいんだろ。
「…なるほど、猿ね。
研磨を猿って形容できる日が来るなんて、俺…」
クロは一人でずっとなんか言ってる。