第31章 ガーベラ
──「研磨くんとはいろいろ話してるか?
穂波がどうするかだけじゃなく、彼がどうしてくつもりか」
『うん、研磨くんもね、卒業後っていうかきっと引退後かな、
進めていきたいこと、やりたいことがいろいろあるみたい』
「将輝ともたまに話をしてるみたいだしな」
将輝さんはカズくんのお父さん。
フリーランスのデザイナー、クリエイターとして仕事をしながら、
株式トレーダーをしてる。
『あぁ、やっぱりそうだよね。 …きっとしっくりくるものがあるんだろうね』
「あいつも大学在学時にすでに色々始めてたからな。
19の時にカズマが蘭ちゃんのお腹にやってきて、20歳の時に生まれてるしな…
人柄は違えど、研磨くんを見てると将輝のその頃を思い出すよ。いろんな意味で」
『…いろんな、意味で』
「…覚悟とか、な。 俺が憶測で話すことでもない。
…Allyいるだろ、オーストラリアに」
『うん、お父さんがwooferした時に一緒になった人?』
wwooferは世界中のオーガニックファームが登録されてるwoofというとこを通して、
ファームのお手伝いをする農業を学びたい人や単純に旅人、そのどちらもだったりを称したことば。
お父さんは学生時代、写真を撮りながらwwooferとしてファームの手伝いをしてたことがある。
その時に同じファームで一緒になったオーストラリア人がAlly。
もう成人した2人の子のお母さんで、シングルマザーで、助産師さん。
一緒になったwwoof先で毎日吐き気をもよおしていて、
それつわりじゃない?心当たりある?ってなって一緒に妊娠検査薬を買いに行き…
そんなエピソードを数年前オーストラリアで会った時に話してくれた。
彼女の子の外見は誰が見ても違う。
切長の目、焦茶色の髪の毛、アジアンビューティーと呼ぶにふさわしい長女と、
プラチナブロンド、くりくりのブルーアイ、血管が透けるような白い肌の次女。
1人目の子のお父さんはまぁ、あれだったけど、
2人目の子のお父さんは結婚こそする気はないものの、
養育費含め子育てそのものには協力的で、
違う家に住みながら、子供達を共に育てた。