第31章 ガーベラ
ー穂波sideー
目が覚めると
隣に寝てる研磨くんが服を着ていない。
わたし、もしかして先に寝ちゃったのかな。
服着せるとか言っておいて…
ううう…絶対そうだ。
キャンドルを消した覚えもない。
…肩、冷えてないかな。
そっと触れると、うん、ちゃんとお布団に首まで入ってたしあったかい。
よかった。
服、着せたら起きちゃうかな。
…でもちょっと、着せてみようかな。
研磨くん、ぐっすりの時はほんと、起きないからな。
起きにくそうなボトムから履かせることにした。
布団の外で形を整えて布団に潜り込んで。
研磨くんも前ボタンのパジャマ着たらいいのにな。
そしたらこういう時、脱がせ易いし着せ易い。
でも研磨くん、スウェット似合うんだよなぁ…
インナーの襟元にそっと頭を通す。
…ここから腕を入れるのか。
手首を掴んでどうにかこうにか両腕とも袖に通した。
お腹も背中もちゃんと隠しておしまい。
スウェットも着せたいけど…
起こしちゃいそうだし…
しっかりお布団かけておこう。
部屋着をきてお風呂へ向かう
洗濯に使った残り湯を抜いてる間に、
洗濯物を取り出す。
お風呂洗ってお湯はってる間にストーブをつけようとリビングに行くと
お父さんがもうつけてくれてて…
お白湯を沸かして2人でつき始めた火を無言で眺める。
お父さんはサーファーである上に
カメラマンなので基本朝が早い。身体に染み込んでるという感じ。
前日の晩にお酒を飲んでも飲まなくても。寝るのが何時でも。
冬のいいところは自然と暖を取れる場所に人が集まるところ。
それぞれのこころや意識も外よりも自分の内側に向かっていて、
だから自然と普段しないような会話がとんとんってはずんだり、
改まってしようと思ってた話がふいに口をついてたりする。
…って今は2人とも無言だけど。
先日のやっぱり朝のこの時間に、お父さんと高校卒業後の話をした。
サポートがないとできないことだし、
ちょこちょこと進路と呼ばれる類のことは話してきたけど、
その時はそれに伴う私生活のことだったり、
人生のことだったり。
もっと広い話になった。