第31章 ガーベラ
ー研磨sideー
ベッドで布団と毛布に包まって、
穂波とくっついてキャンドルを見てる。
『…寒くない?』
「…ん、あったかい」
『…ん。このまま寝ちゃってもわたしが服着せるね』
「へぇ、着せるんだ」
『…?』
いつもは裸で寝ようって言ってくるのに。
汗かく夏でも、寒い冬でも。
大方、春高前だからってとこだろうな。
さっき、文化祭での穂波の言葉を思い出した。
── 「…研磨さんの身体に溶けて一つに重なりたいって思うことがあるってことで?」
「NG、NG!際どい!」
『うーん、ちょっと違うけど、ナイショです♡
世界中に自慢したいくらい幸せで溢れてるけど、
同じくらい誰にも言いたくないの。独り占め、したいの』
…おれは穂波の身体に溶けて一つになっちゃいたいって思ったりするけど、
ちょっと違うってどういうことなんだろ。
「…ねぇ、穂波」
『…んー』
…寝てるし。
暖房はもう切ったし…
くっついて寝ると寒くないし…
ていうか穂波ん家、
ストーブの熾火があるからすっごい冷えるってことがないんだよな。
いや、朝起きて裸で布団から出ると普通に寒いけど。
でもなんていうか、夜の間に冷え切った空気にはなってない。
おれもこのまま寝よっと。
穂波にキスをして、キャンドル消して。
起き上がったついでに目についた服を枕元に置いといて。
穂波に腕も脚も絡めて抱きついて目を瞑る。