第31章 ガーベラ
ー研磨sideー
『…研磨くん、欲しい』
まだどこか視点の合わない目で、
おれの方をぼんやり見ながら
小さい声ででも、割合はっきりと言う。
「…欲しい、か」
『…だめ?』
「ううん、俺は嬉しいけど身体キツくない?」
『…大丈夫 …溶けそうだけど』
「…じゃあ苦しくなったら言ってね おれやめる」
『ん。 さっきも苦しくなかったよ…』
「………」
『いや、苦しくなかったことはないけど… 気持ちいいの苦しいだから
研磨くんが神がかってるだけ』
「…?」
最後ちょっとよくわかんなかったけど… まだ硬いし…
「…じゃあ、挿れるね。 優しくする」
『…いつも 優しいもん、研磨くん』
「………」
『だから、なんでもいいよ。研磨くんなら何でもいい』
…どこまでおれを溶かすんだろ
どこまでおれを悦ばせるんだろ
「…ん」
穂波にあてがい、
先っぽを擦りつけるとだんだんとまた濡れてくる。
おれも気持ちよくって、
さっきよりすこしふにゃってしてたのがむくむくと起き上がる。
「すきだよ、穂波」
目を見ながら、腰を沈めていく。
『…ん だいすき』
目尻に綺麗な涙を溜めて穂波が言う。
すきなんてもんじゃない、
だいすきなんてもんじゃない。
愛してる。幸せにする。
だからずっとおれのでいて。
そう思う。
まだ言えないけど。
でもだからってすきがだいすきや愛してるに劣るわけじゃない。
おれが穂波にいう すき は、もう全部ひっくるめた言葉。
おれしか知らないけど。
クロがくさいこというの笑ってたけど、
おれも大概なこと思ってる。
…いや、クロとは違うか。
全然違う。
おれのは、すきなら当たり前、のやつだ。
『…研磨くん』
ヘッドボードのに持たれたまま半分座ってるみたいな穂波がおれの頬に手を添える。
吸い寄せられるようにキスをする。
甘く、甘いキス。
まだ動いてないのに身体が溶けてくみたいな感じがする。