第31章 ガーベラ
ー穂波sideー
研磨くんが手にしたのは2人で浴衣着て向かい合ってるのを
横から撮った写真だった。
『…うん、じゃあわたしはこっちをもらうね』
「…ん。いつか」
『…ん?』
「一緒に暮らすようになったら、並べて壁にかけたい」
『………』
「…え、あ、ちょっと………」
涙腺ゆるゆるになってるのに研磨くんがそんなこと言うから
ばかばか ばかばか
研磨くんは何も言わずに、
頭を優しくぽんぽんってしてくれる。
「キーホルダーは穂波が選んで」
少し落ち着いた頃合いで、研磨くんがそう声をかけてくれる。
『わたしぽんぽんにする。研磨くんがタッセル』
「…ん。鍵、穂波の部屋だ。あとで付け替える」
『…ん』
「このフレーム、かっこいいね」
『ね、多分おじいちゃんが作ったんだと思う』
「え、おじいさんこんなのできるの」
『うん、千葉のおじいちゃん、木工とかすきなの』
「…へぇ すご。 これ、ほんとかっこいい」
『…ん。 くるみの木、かな』
そんなことをポツポツ喋りながらお茶を飲んで、歯磨きをして…
お母さんたちに声をかけて部屋に上がる。
研磨くんは早速キーホルダーを付け替えてて、
なんか、きゅんとした。
「…貫入のカップと、この写真と。キーホルダー」
『…ん?』
「いつか並んで置いてあると嬉しいな、と思うやつ」
『…ん』
「キーホルダーは鍵も一緒になる」
『…ん』
「ずっとおれのでいてね、穂波」
『うん、ずっと研磨くんのでいさせてね』
「…ふ かわいい 目の周り赤い」
『………』
…さっきから研磨くん、なんかすごいことをふわぁっと言ってくるな。
わたしが先走って言うことはあるけど、
こうやって研磨くんに淡々と言われると、すごい。
「…穂波、こっち」
ベッドに座った研磨くんは手をおいでおいでしながら、
わたしの名前を呼ぶ