第31章 ガーベラ
ー穂波sideー
お母さんとお父さんからわたし“たち”へのプレゼントだなんて…!
ツリーの下にはお兄ちゃんや海外の友人からのプレゼントが置いてあって。
お母さんとお父さんからのプレゼントもあったはずで…
お父さんが撮った写真が2枚。
フレームはきっと、おじいちゃんが作ったんだとおもう。
それからお母さんが作ったんだろうな、
藍染の糸と生成りの糸で作られたチャームのついたキーホルダー。
タッセルのと、ポンポンのとあって、
それぞれに小さくて綺麗な音の鳴る真鍮の鈴もついてる。
「…ぇと…… ありがとうございます」
「うん、写真もチャームも2人で好きな方選んでもらえれば」
「…ちょっと大袈裟にしてしまって、でも、多分」
「…あ、うん。おれと穂波はずっと一緒にいるから、これからも。
だから、全然、大袈裟とかそんなことはない」
『………』
…研磨くん、そんなこと両親に言ったら、まるでそれは。
「おれ、写真苦手で今まで来たけど、
前ツトムくんから一緒に写ってる写真一枚、データでだけどもらった時も思ったし、
今、これ見たら 写真ってすごいなって思った。
すごい嬉しい …です」
「研磨くんにそんな風に言ってもらえて嬉しいよ。こちらこそいつもありがとう。
研磨くんといる穂波はほんとにね、幸せそうで。父親としては…」
『…ぅぅぅ』
「…え」
なにこの会話。
大好きな人たちが幸せすぎる話をしてる。
お母さんが背中を優しくさすってくれるものだから、
涙は収まるどころかぼろぼろ出てくる。
『なんでもない…づづげでぐだざい……』
「…笑」
「…この2人の男たちはこういうのを無意識にやるから憎いねぇ」
「…え、にくっ……」
お母さん、全くもって同感。
それに研磨くんほどじゃないけど、
わりと寡黙な方なお父さん。
それから言わずもがなの、研磨くん。
そんな2人がまるで、これからも(ずっと)よろしくって言ってるみたいな。
そんな風に感じた。 研磨くんがお父さんの写真を好いてくれてるのも嬉しい。
アルバムとかでお父さんが撮った写真は研磨くんも何枚も見てるけど、
研磨くん自身が映ってるのは初めてだったから。