第31章 ガーベラ
ふにゃーってなって、
湯船の中に戻って座り込む。
穂波を抱き寄せて追い焚きをして、
もう一度あったまり直した。
穂波はちょっとのぼせそうになってたのに
上がる気配がないから、
先に上がって、と促すと、しぶしぶ うん。 と言って先に上がっていった。
おれもそろそろあがろっと。
穂波はまだ脱衣所にいる。
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「メリークリスマス、研磨くん!」
お酒の入ったいつもより少し陽気な心さんが風呂上がりのおれにそう言う。
…これ、なんて答えればいいのかわかんない。
とりあえず手に持ってる水を飲んで…
「…ん。お邪魔してます」
『…笑』
「はい、これ。研磨くんと穂波に」
心さんとシゲさんが並んで
おれと穂波に綺麗に包装された箱を手渡してくる
「………」
『…わぁ ありがとう! …なんだろうね? 開けてもいい?』
「もちろん〜」
穂波が机に包みを置いて、おれの手を引く
それから、誕生日の時もそうだったように
穂波は丁寧に包装を解いていく。
『じゃあ、研磨くん、目、つむろう?』
「え?」
『このままだとわたしが最初に見ちゃうから、
目瞑ってだしてせーので目を開けよ』
「あ、うん。 わかった」
穂波は最後箱の蓋を開けるだけ、
っていう状態にしてそう言って、
それから嬉しそうに目を瞑る。
おれも一度目を瞑ったんだけど…
穂波の顔見たいなって思ってうっすら目を開けたら、
シゲさんがくすっと笑ったのがわかった。
思わずシゲさんの方をみると
2人それぞれとばっちり目があって、
それからおれが何で目を開けたかはわかってるよ。
って言われてる気がした。
穂波に悪いし、箱は見ないようにして、
目を瞑ってる穂波の顔を見る。
『じゃあ、開けるね。まだ、目は瞑っててね』
嬉しそうに言う。
シゲさんはカメラのシャッターを一度だけきった。
フィルムカメラなのかな。