第31章 ガーベラ
ー研磨sideー
ケーキが… うまい。
ちょっと変わったわ組み合わせだけど、絶妙。
柿とカマンベールチーズのタルトだって。
映画観ながらぱくぱくとワンカット食べてしまった。
初めて観る映画じゃなくて、
今日は子供の頃からなんとなく何度も観てるやつを観たいと思った。
しゃべったり、気楽に席を立ったりできるような。
「穂波、ケーキもうちょっと食べたい」
『わわ!本当? 嬉しい。 甘塩っぱくてぱくぱく食べれるね』
そう言って穂波は下にケーキを取りに行ってくれた。
ぱくぱく食べれるね、とか言いながら
穂波はまだ半分残ってる。
いつもおれと穂波は大体食べるペース一緒なんだけどな…
おれそんなぱくぱく食べてたのかな…
いやそれにしても美味しい。
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2切れ目のケーキはいつものペースでゆっくり食べれて、
お茶も飲んでほかほか。
2人で一枚のブランケットに包まって映画の残りを見た。
別に寒くないんだけど…
でもなんか、くっつく口実みたいな。
暑いわけじゃないし。
穂波はおれの肩に頭をそっと預けてる。
クスクス笑ったり、
泥棒が痛い目にあってるとこではoh...みたいな英語っぽい音を出したり。
これにしてよかった。観る映画。
初めてとかだとこんな風に声出したり、あんましないから。
もうよく知ってる映画だからこその反応っぽい気がする。
ケーキを食べ終わってからは
おれは映画より、穂波の方にばっか気が行ってる。
『…久々に観たぁ やっぱおもしろいねぇ』
「…ん」
穂波はそっと身体からブランケットを外し、
ぐーーーっと伸びをする
『んんぁーーー 気持ちいい』
すとんっと穂波が腕を下ろしたところで、キスをする。
唇を離すとぽかんとした顔をしてる。
肩に手を添え、もう一回。
次は穂波の唇がふにっとおれの唇に合わせて形を変える
啄むように顔の角度を変えながらキスを交わす。