第5章 夏
『これ、パジャマには向かなそうだから明日履いて、
パジャマの下はお兄ちゃんのタンスから借りよう。クロさんなら着れるとおもう』
褪せたグリーンにプリントの入ったトップスをパジャマに、
黒地に白でロゴの入ったトップスと
落ち着いた赤系の幾何学模様のハーフパンツを明日用に選んだ。
「ありがとうね〜一生懸命探してくれて」
軽く言いながら、重たい箱を上に上げてくれる。
『お店とかうちにくるサーファーたちに選ぶのは簡単だけど、
研磨くんとかクロさんにここから選ぶのは難しくって逆に楽しい。
似合う似合わない以前に、やっぱ着ててそわそわするのはなぁとか思って、
あんまり思い切ったの選べないみたい。笑
こうやって自分のこと知ったりするよね』
「楽しんでくれたならよかったワ。じゃ、行きますかね」
『…ん。手伝ってくれてありがとう』
「…一生懸命探してくれてたから、ちょっと浴衣はだけてるんじゃね?」
『…え、ほんと?どこ?』
「…いや、どことかわかんねぇけど、全体の感じが」
『…ちょっと待って、直す。』
襟元と裾を直して見てもらう。
『…どう?だらしなくないかな?』
「おぉ!すげぇ、雰囲気全然変わった」
『ありがとうクロさん、教えてくれて』
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家に戻ると、カズくんは一生懸命研磨くんがゲームするのを見てた。
…ずっと見てるのかな?かわいい。
「穂波〜!どこ行ってたんだよー!オセロやろ〜ぜ」
遊児が飛び跳ねながらやって来る。
ソファに座って遊児とオセロをして、
その間研磨くんとかカズくんはずっとゲームしてて。
平和だなぁ… こういう何でもないような時間が好き。
クロさんたちもみんなお風呂に入って、
わたしもシャワーに向かうと、
「穂波〜、明日の朝ごはん、高校生組の分お願いしていい?」
「カズマの分も合わせてお願い〜」
遊児のとこのおばちゃんとカズくんのお母さんに声をかけられた。
『うん、大丈夫だよ。存分に楽しんで、明日の朝はゆっくりしてね。
お母さんたちほんと毎日すごい!』
「ありがとう〜心が羨ましいわぁ」
毎日毎日子供達のご飯を作るお母さんたちってほんとにすごいって思う。
パンにするかもしれないけど、
一応、昆布を水に浸して冷蔵庫に入れておく。