第31章 ガーベラ
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『…研磨くん、寝る?』
「…んーどうしようかな」
『シャワー浴びようかな、わたし。熱いやつ』
「…あ、じゃあおれも」
『それならお風呂いれよっか』
「………」
『…?』
「いや、お風呂はまた後で入りたいかも」
『…? …あ、眠くなっちゃうかもだよね、たしかに』
「………」
穂波と一緒に熱いシャワーを浴びた。
どうしても、触れてしまう。
水を浴びながら抱き合ったり、キスしたり。
なんなんだろうこの感じ。
馬鹿になる。
『…雨に濡れたことある?』
「…多分穂波が言ってるようなのはない」
シャワーを止めて、もわぁとした浴室の中、
穂波が背中にぎゅーって抱きつきながら問う。
おれの雨に濡れたは、ぽつぽつ当たるのとか。
いきなりざーって降ってきて濡れるのやだから折り畳み傘鞄に入れてるし。軽いやつ。
腕のとこからぴょこって顔を出す。
いちいちかわいいのなんなわけ
『一緒に雨に濡れたい!』
「…え、やだ」
『…だよね、知ってる』
「…もうちょっと粘って」
『いいの?』
「聞くだけなら」
『…んーと じゃあ日本じゃないとこで』
「………」
『スコールが降ったら一緒に雨を浴びる』
「…笑 それでどうなるの 一緒に雨浴びてなんになるの
服が濡れるだけじゃん」
『何にもならないよ。 でも気持ちいいの』
「………」
『だから研磨くんと一緒にシャワー浴びるみたいに雨に濡れたい!
それでさっきみたいにいっぱいキスする!』
「…笑 なんでそんな元気なの」
『なんでだろう、研磨くんと久々にシャワー浴びたからかな』
「…単純だね」
『うん、単純で結構』
そう言いながらケラケラと笑って身体を離す
おれはもう一度蛇口を捻りながら
脱衣所へ一歩踏み出そうとする穂波の手首を掴んだ
「…っつめたっ」
『ひゃー』
温度調節のところ、
穂波ん家では使い終わると一度水のとこに戻すってしてて。
いまも例外なく穂波はちゃんと、低い方に目一杯捻ってたみたいで。
真上から冷たい水をがっつり浴びた
12月下旬。