第30章 rollin’ rollin’
「孤…彼氏以外のひとにキスされたことがあるの?」
『…うぅ そう改めて聞かれるとすごい… 』
「木兎さん?」
『あっ ううん、光太郎くんはね、違うよ。頭ポンポンってしてくれる』
「あぁ…びっくりした …そっか、そういうこともあるのか。
…確かに穂波ちゃんは無防備なところがあるから」
「うんうん 心配になると同時に…」
「…そこが大きな魅力にも繋がってる。
彼氏は? 彼氏とはその辺りも話すの? それで彼氏は… ってごめん、前のめりになりすぎた」
『…ううん、そうなるよね。 彼氏は… 彼には話すよ』
「…あぁそっか、よかった。 それでも、変わらず仲がいいんだね」
『よかった、って。 京治くんってほんとに優しいね。ありがとう』
血相を変えて質問し、それからほっと安堵の色を浮かべる。
京治くんは人想いなひとだな。
10月の終わり、蛍くんとホテルに行ったことは、ちょっと怒られた。
──「なにもかも想像がつくけど、ちょっと無防備すぎ。
その状況でまぁ、ホテルに行くのはこの際もういいとして…
その、状況だからだよ?またしていいって意味じゃないじゃらね。
穂波まで寝ちゃうのはダメでしょ。
そんなの何があってもしょうがないよ。
何もなくて… キスくらいで済んでよかったけど、キスしちゃってるし」
そもそも反論する気もなかったけど、
蛍くんのことは責めず、
状況や私のことをよく理解してくれた上で
冷静にまとめてくれたので…
グゥの根もでないとはこのことだ、と言った感じだった。
「…思い出す?月島とのキス」
『いえ、思い出さないんです』
「気持ちよかった?」
『ううん、そういうんじゃない。そんなこと聞いてどうするの』
「…せめて頭の中だけでも、穂波をめちゃくちゃにする」
『………』
怒られてるのに、ゾクゾクした。
背筋だけじゃなくて、胸や内側の色々が震えるみたいだった。
「なんてね。 …穂波、ちょっと歩こ」
それから2人で校内を何となく歩いて…
人気のないところでたっぷりキスをした。 掃除の鐘が鳴るまで。