第30章 rollin’ rollin’
ー穂波sideー
「甘いは… そうですね、大体全てが甘い気がします。
その子といる時間、その子に少しでも触れれた時間、
遠くからでも姿を見ていられる時間…
会えなくても手紙や電話で通じる時間…
それすらなくとも、その子のことを思う時間…」
『はぁ…素敵。 本当に、その子は幸せものだよね、前も言ったけど』
京治くんが〇〇さんに促されて好きな人のことを話してる。
「…そう、なのかな? だといいんだけど。
でも、俺も幸せ者だなって思うよ。こんな想いさせてもらえて」
『はぅあ………』
「はぅ……あ…?」
「ふふ、穂波ちゃんは蕩けちゃったね。気にせず行こう」
「あ… そうですね、酸っぱい方は… その人には好きな人がいて。
相思相愛で、本当にお似合いで… それ自体は辛くはないんですけど。
酸っぱいというより、甘酸っぱいっていうのは確かに、と思いました。
でもその子、その彼氏といる時本当に幸せそうな顔をするんです。
それみてると、全てどうでも良くなるというか…
ただ、諦めるだとか、完全に手を引くということも全く考えれないので…
想い続けながら、そうですね… 何がしたいのかはうまく説明ができないのですが…」
「ほうほう… 恋してるね。 キスしたい、とか思わないの?」
『うんうん… それわたしも思ったんだぁ、京治くんのこと考えててね、うん』
触りたい気持ちとか、抑えるんだもんな、って。
「俺のことを考えて何を思ったの?」
『わたしはつい、触っちゃうからさ…
こう、恋愛としての好きな人にも、人として好きな人にも…
キスは流石に我慢できるかなぁって思うけど…』
「思うけど?」
『…んーと、実際我慢できないこともあるんだなぁって』
「穂波ちゃんは、したことはないけどされたことがあるんじゃない?」
『あああああ… わかりますか? …もうほんとぼっけぼけで………』
「えっ!?」
『えっ!?』
京治くんのいつも聞かないような大きな声に驚いて、
ついおうむ返ししてしまった。