第30章 rollin’ rollin’
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改札内のお弁当屋さんでお弁当を買って、
影山くんと2人、椅子に座って食べる。
机もあるので向かい合って。
影山くんは3色弁当。
いくら、鮭ハラス、鮪フレークがご飯の上にのってる。
わたしは深川弁当。
すっごく今の気分に合っていて食べたい!ってなったけど、
全部食べれる気がしなかったので、
買う前に影山くんに半分食べてもらえるか聞いたら、
「いいんすか?頼まれたらもちろん食えますけど…」
って言ってくれたので、そのままこれにした。
「…? これなんすか?」
影山くんは茶色いなにかを一口齧って言う。
『さぁ?どんな味がするの?』
「鮪みたいだけど、チャーシューみたいな味がします」
『へぇ、鮪のチャーシュー?初めて聞いた〜』
「食いますか?」
『え、いいよ。食べな食べな』
そんな大きなものじゃないし
「…こういうの食って、作ったりするんじゃないんすか、穂波さんって」
『へ?』
「勝手な想像っスけど… これ食べて、また作ってください。うめーっすから」
『…あぁ、そっか 初めて聞いたって言ったから、こう、ね、うん。広げようとしてくれてるのね』
「…?」
『じゃあちょっとだけ味見させて?』
影山くんは一度ご飯の上にそれを置いて、半分に切ってつまむ。
そのまま箸がこちらに向かってくる。
『え、もっと小さくっていいよ』
って、言ってるんだけど
よ の口で軽く開いた口の隙間にするりとチャーシューが滑り込んできた。
だいぶ強引だけども…笑
口の中に入ったなら美味しくいただかねば。
んー味濃い。
ごはんに合うやつだ〜
美味しい。美味しいぞ、鮪の肉感も魚感もどっちもちゃんと。
よくよく噛んで味わってから、飲み込む。
『…わぁ、美味しかった』
「………」
『…?』
影山くんは箸を止めて、こっちをじーっと見てる。