第30章 rollin’ rollin’
千鹿谷「五日間、合宿があったんです。それで、今はその帰りで…」
『あぁ!全日本ユース強化合宿!…ってやつ?』
千鹿谷「あ、そーっす!それで、俺ら一緒になって…」
わぁ、千鹿谷くんも選ばれたんだ。 すごいすごい。
ほんとに、すごいなぁ…
じゃあ、さっきの金髪ツーブロックさんとか、
その他のいろんなジャージ着てた人も、そうなのかな。
鴎みたいな目をした人もいたなぁ…
古森くんと聖臣くんもいたのかな?
「あっ穂波さん、もしかして宇都宮線っすか?そっち行こうとしてたなら東京行き?」
『あぁ、うん。そうだよ』
「…影山も同じなんですけど…… えっと、その」
『あ、そっか新幹線。 一緒に行く?』
「あぁ…ほんと助かります!」
『…ふふ、なんで千鹿谷くんが?』
「…いやなんか、心配で」
『あはは、じゃあ、影山くんは改札まで責任持ってお届けします』
「良かったな!影山!」
「…ぉう」
そんなこんなで千鹿谷くんとまたねをして、
影山くんと電車に乗る。
ドアのとこに立ちながらお話し。
赤羽駅から東京駅までは20分もかからないくらい。
あっという間だ。
『…合宿どうだった?』
「…すごかったっス。 …みんな強くて すごかったっス」
『そっかぁ… それはそうだよね。
烏野にいる影山くんを見るのも大好きだけど、ユースとか日本代表とか…
そんなとこにいたらまたすごそうだなぁ』
「………」
『…でもそんな遠くない未来に、それはきっと見れるんだろうなぁ』
「…ぅす あの、穂波さんは何してんすか」
『…へ? あ、今日? ぅおっと……』
満員ではないけど結構人の多い車内、
後ろの車両に移動しようと歩いているひとの鞄があたって、
バランスを崩してしまった。
影山くんの胸に飛び込みそうになるのを、
ドアに手をつき足を踏ん張ってなんとか堪える。
…ふぅ
『えっ わぁ……』
自力で耐えれたことに勝手に達成感を覚えていると、
宙ぶらりんになってる方の手をぐいっと影山くんに引きよせられる。
手首は掴まれたまま、
もう片方の手で後頭部をぐっと押されると
いとも簡単に影山くんの胸に顔がぽすんと埋もれる