第30章 rollin’ rollin’
ー月島sideー
つくづく僕は何気取りなんだよって思うけど。
孤爪さんはどうしようもないし、
東京にいる人たちはしょうがないと割り切ったとしても、
宮城にも穂波さんに近付こうとする男がいるかと思うと、
うんざりっていうか、なんていうか…
彼氏でもないくせに、
しかもきっと当の彼氏はけろってしてるんだろうし、
ほんと、かっこ悪いけど… 仕方ない。
『…あと2日だね』
「あぁ、うん。まぁでも、2日終わったとこで、また学校と部活だし」
『そうだよね、春高行くんだもん』
「…だね」
『怪我とか身体に気をつけてね。わたしがいうまでもないけどさ』
「………」
『でもね、昔、少林寺習ってたときに先生が言ってたんだけど』
「…少林寺やってたの!?全然そんな感じしないんだけど」
『あはは、それはわたしも異論ないけど…笑』
「…話遮った、それで、なんだった?」
『…あ、えっとね、気をつけてね!ってさ、こうわたしが蛍くんに言うと、
蛍くん自身が、意識的に、注意を払うように!みたいな意味でしょ。
そんな、嫌な感じではないんだけど。極端に言うとね』
「あぁ、まぁ、そうだね。…なんで、違うの?」
『ううん、違わないんだけどね、その発端っていうのかな、
そう言うようになった始まりはね、
わたしが蛍くんの健康とかさ無事を思う、その、わたしの 気 をさ、
言葉にすることで蛍くんにピトッてつけるんだって。
お守りじゃないけど。そういう、想いから生まれた言い回しなんだって』
「…へぇ」
『本当に本当かはわかんないけど、でもなんか良いなぁって思って。
送り出す時とか、そんな気持ちで使ってる』
「…うん、ちょっと想像つくかも、その…始まりの感じ。日本っぽいというか」
『だよね!たとえ後付けだとしても、結構それっぽいよね』
「…だね」
『蛍くんがさ、博物館とかでたまに控えめにぽろって教えてくれたみたいなこと、わたし大好き。
だから蛍くんからまたいろいろ聞きたいなぁって思う』
「あぁ、うん」
トリビア語り出すみたいなのは絶対したくないけど、
話してて楽しいことを、好きな人が楽しんでくれるのは嬉しい。