第30章 rollin’ rollin’
そして今、京治くんの手紙を読み終えて夕飯を軽く食べてから、
早速〇〇さんにメールをしようとパソコンを取りに部屋に上がると、
部屋に置いたままにしてた携帯が鳴ってた。
着信元は、蛍くん。
『はーい、もしもし』
「あ、穂波さん?」
『うん、穂波ですよ』
「………」
『今日も練習お疲れさま。今日から一日ってことかな?』
「…なんで白鳥沢の人と知り合ってるわけ?」
…およよ 蛍くんの声に、棘がある。
『あっと… えーっと……』
白布くん…?
いや、みんなの前でわたしのことを話すとは思えない。
工くん… 天童さん…
みんなに話すわけじゃなくても、
それなりに聞こえやすい声で話しそうではある。
わたしのことなんかを、
合宿中に話すことがあるのだろうかとは思うけど、
昨日の白布くんとの電話の件があるから、あり得なくはない。
「…いつ? どこで?」
『…えっと、誰と?』
「誰とって、どういうこと?」
『天童さんと工くんはこの間会場出たところで出会ったんだよ。
わたしよそ見して歩いてて、天童さんにぶつかっちゃって。
工くんはその流れで、こんにちはって』
「…今日穂波さんのこと話してるのを見かけたのはその2人だけど、
他にも仲良くなった人がいるの?」
『…蛍くん、大丈夫?』
「…いやちょっと、イラッとした。
宮城きてまで、他の男に好かれるとかやなんだけど。
…別に僕ら付き合ってないのに馬鹿みたいだけどさ」
蛍くんが遊児と同じようなことを言ってることにキュンとする。
全然違う2人なのに。面白いな。
『ううん、そんな風に思ってくれてありがとう。
もう一人の人はね、小さい頃に海で兄弟みんなで遊んだことがあるんだ。
それで、久しぶりに会ってお話しした』
「…ふぅん それだけ?」
『うん、その3人としか話してないし、んーと…』
「…好きだのなんだの騒いでたけど何もされてない?」
『好きです!とは言ってもらえたけど、それだけだよ』
「…ならいいや」
『ちゃんとご飯食べた?』
「…あぁ、うん。それなりに」