第30章 rollin’ rollin’
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想像したよりずっと話がはずんだ。
今日は白鳥沢の3年生が強化選抜のチームと練習試合をしたんだって、とか。
明日は宮城県民の休日?らしく、今日の夜から強化選抜の選手たちは泊まりになる、とか。
白布くんのお母さんがさ、とか。
うちのお母さんもね、とか。
あとお兄ちゃん、もうすぐ大会始まるんだよ、とか。
ツアーファイナル。時間が合えば見るわって白布くんが。
「あっれ〜 賢二郎、さっきも電話してたけどまだ話してる〜」
「いや電話してる側でそんなでかい声だすなよ」
「英太くん、だってそんなポライトな電話こんな長時間すると思う〜?」
「…まぁ、それはそうかもしれないが」
「彼女かな? 彼女かなぁ?」
受話器の向こうから天童さんとチームメイトの人っぽい声が聞こえる。
『…ふっ 笑』
「…わるい穂波。 もう今日はこの辺で…」
『あ、うん。じゃあ、身体には気をつけてね』
「あっれー今穂波って言ったよねぇ、賢二郎〜」
天堂さんの声が近付いてくる。
「穂波ちゃん?あの時話してた穂波ちゃん?」
「…ちょっと天童さん まだ通話中」
「えぇー どーゆーこと? この間はさぁ、覚え…」
「…また電話する」
小さな声で耳元に囁かれるみたいな感じでそう聞こえたかと思うと、
ぷつっと通話が切れた。
向こうでは騒がしいことになってるのかな…
わたしを巻き込まないように、とも取れる電話の切り方になんだか勝手にときめく。
というか、天童さんは白布くんとわたしが知り合いだって知ってるんだな。
白鳥沢ってなんだか、面白そうなチームだなぁと思う。
一見、近付き難い感じもあるのだけれど。