第30章 rollin’ rollin’
今週は連絡がよくくる。
マメじゃないわたしにはなかなか、
なかなか刺激的。
対面での人付き合いや出会いはわりとこう、
普通に流れていけるけど、
電話やメールでのやりとりはあまり自発的にはしないので、
相変わらず刺激的に感じる。
── 一昨日、水曜日。
家で勉強してると蛍くんから着信が入った。
…今日から白鳥沢学園での強化選抜って言ってたな。
『もしもし、蛍くん』
「…あ、もしもし穂波さん。 …今大丈夫?」
…結構声が、疲れている…ように思うけど
『お疲れさま、練習終わった?』
「…あぁ うん」
『…ふふ 今はお家? もうご飯食べた?』
「…うん、家帰ったとこ。ご飯はまだ。先に穂波さんの声聞きたくて」
『………』
うぅ… かわいい かわいい ずるい 蛍くん!
どうも疲れているようだけど、
これは触れない方が良いのかな。
それとも話したいのかな。
『蛍く…』
「今日さ、あのばっ…」
『…ばっ?』
「あのバカが乗り込んできた 呼ばれてないのに」
『あの、馬鹿?』
「…日向」
『…へぇ……… え?』
「授業のあと普通に行って… それで、集合したらいた。ほんっと、わけわかんない。
僕の隣に並ぶし、烏野ってだけで仲間だと思われると思うと… あぁほんと、最悪だった」
『…えっ ちょっと へ?』
「…もう説明したくない」
『あっ うん、ごめん 大丈夫。 ちょっと頭の中整理する………』
「…笑」
蛍くんはそれから少し、合宿の話を続けてくれた。
翔陽くんの様子や、想うこと…
もうこの話はやめると言って、他の話題を話してから電話を切った。
翔陽くん!
すっごいガッツというか、真っ直ぐさというか…
あれ、ガッツ? …根性?
わたしいま無意識に翔陽くんに根性を感じたのかな。
…でも、乗り込む無鉄砲さが根性なわけない。
そこで無下というか、当たり前のことだけど優しく迎え入れてもらえなくても、
武田先生や鵜飼コーチに叱られても、折れない心?
それでも真っ直ぐにいれること…? それが根性?
あぁ、やっぱりよくわからない。
よくわからないけど、根性はきっといろんな形があるんだろうなと思う。