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【ハイキュー】   “波長”   【孤爪研磨】

第30章 rollin’ rollin’


ー穂波sideー




金曜日、レッスンを終えて家に帰ると
京治くんから手紙が届いていた。

葉書に切手を貼って同封したのだけど
わざわざ封筒に入ってる。

すぐに開けたい気持ちを抑え
荷物を置いて手を洗ったりして
お母さんがちょうど淹れていたお茶を受け取ってソファにつく。

ペーパーナイフで封を切ると
葉書と一緒に栞が入っていた。



深く深い紺地の布に
銀色の糸で刺繍が施されてる。

スピンと呼ばれる、ぴょんと飛び出す部分は
刺繍と同色の糸が丁寧に組んである紐でできてる。

点と点を線で結んだシンプルな刺繍だけど
生地の良さ、あとバランスかな…
すごく綺麗で洗練された感じがする。

この刺繍はおそらく、空に浮かぶ水瓶座の形。
合宿で誕生日を話したこと覚えててくれたんだ。
二十四節気についてわたしが熱く語ってしまっているのを
京治くんは表情こそさほど変えないものの
優しく見守るように聞いてくれていた。

…嬉しい。
不意にいただくこういう小さくてぎゅっとした贈り物。
きゅん きゅん って心が疼いてしまう。




そして葉書。
封筒に書かれた宛名を見た時点で分かっていたけど
というか何なら、字を見る前からわかっていたけど
京治くん、字がすごく綺麗。 知性が字から溢れ出ている。




【穂波ちゃん、こんにちは。
こんな風に友人に手紙を書くのは初めてで、
どうしたらいいかわからないけど穂波ちゃんにやっと、
手紙を返信できることを嬉しく思います。

16日の件、是非ご一緒したいです。
18時には学校を出れると思う。
できることはこうして手紙でやりとりで全く差し支えない、
むしろ楽しいので是非続けたいけれど、
当日何かあった時のために連絡先を記しておきます。
090-xxxx-xxxx

穂波ちゃんに会えるのを楽しみにしています。     2012.12.4 京治

追伸:たまたま入った書店で手作り市みたいなものが催されており、
綺麗な栞を見つけたので同封します。】




…何だこれ胸がきゅんきゅんしちゃう。

京治くんはすとんすとんと真っ直ぐに優しい言葉をかけてくれるけど
こうして文面で穂波ちゃんに会えるのを楽しみにしてる、
などと書かれると途端に濃度が増すというか…

…とにかく一緒に食事できるんだ!




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