第30章 rollin’ rollin’
月曜日。
1限目、やっぱり穂波は遅れてきた。
高木先生に前で問題を解かされてたけど、
いつものように難なく解いてて、
逆にねちねちといじられてた。
普通に解くからつまんねーの、とか言われて。
『周平の家どうだった?』
教室で弁当の包みを開けながら穂波は言う。
「あ、うん。かっこよかった。 …特に中庭」
『うんうん。中庭いいよね、あのガラス張りの壁と』
「…うん 穂波は?千葉、どうだった」
『いつも通り。地元の子達が自然と集まって、がやがやと』
「…ん」
『研磨くんの顔をまだ一度も見れてないって文句言われた』
「え」
『…ふふ 笑 あとね、〇〇さんとお食事することになりそう』
「…へぇ、タヒチであった人?」
『うん。…京治くんも是非って言われてるんだ』
「うん、どうやって誘うの?クロに聞いてもらう?」
『…あー、みんなそんな風にするのか』
「…笑」
『…でも大丈夫まだ日にちあるし。昨日葉書を書いてポストに入れてきた』
「…葉書」
『葉書を封筒に入れて、返信用の葉書も入れて…』
「…笑 いいんじゃない、招待状っぽいね」
『研磨くんは行く?』
「え?おれ?」
『彼も良ければって』
「…おれは、え、いつ?」
『来週の日曜、16日』
「…え、夜?」
『うん』
「…やめとく」
『…笑 うん 今、やめとく決め手は何だったの?』
「え」
『あ、別に責めてるんじゃないよ。ただちょっと面白かったから』
「…いや、別に決め手とかないけど。 やめとこうかなって」
『うん、研磨くん、好き』
「…え?」
…いきなり、このタイミング?
『…ふふ。 そうだ、24日ね』
「うん」
…クリスマスはまた穂波ん家に行くことになってる。
その日も次の日もまた次の日も部活だけど、
24日は穂波ん家に泊まる。
春高前だからって穂波はご飯だけのつもりみたいだったけど、
泊まれるなら泊まりたいっておれが言った
はしゃぐわけでもないし、疲れないし。
クロは逆にゲームを遅くまでしないから良いかもなって言ってた。