第29章 山茶花
ー研磨sideー
部活が終わって夜道を歩いてる。
市の体育館からだから、
いつもは歩いて帰るみんなもバスに乗ったりとか。ちょっと違う。
おれとクロは普通にいつもの駅まで歩いて電車に乗る。
夜久「いやぁ〜でも今日穂波ちゃんすごかったな」
海「綺麗だったな。 その一言で表していいのかわからないほど」
犬岡「マジやばかったっす!神がかってるって、ああいうことを言うんだなーって!」
クロ「惚れ直しちゃったなぁ〜 なぁ、研磨?」
「………」
夜久「歌も良かったよな! バンド経験もあるの?穂波ちゃんって」
「いや、ない。 たまに部屋でギター弾いて歌うくらい。
あんな風に人前で歌ったのは初めてだって」
夜久「すげー度胸。 普通に堂々と歌ってたよな。 笑顔は相変わらず可愛かったし」
クロ「よく隣で鼻歌とか歌ってるけどあれもかわいいよな」
犬岡「はい!鼻歌かわいいっす!ボトル洗いながらとか… ヤバいっす!」
クロ「選曲は全部、一年の子たちがしたのかね」
「…あ、選曲相当良かったよね。最初に歌ったの以外はもともと歌う予定だったやつだって」
夜久「マジかー くだらないの中に〜 っての相当良かった。あんな風になりたい」
クロ「な、研磨と穂波ちゃんって感じはしねーけど、
俺と穂波ちゃん、って想像しちゃう感じだったよな〜」
夜久「穂波ちゃんよく笑うもんなー いいよなー
あー俺もう高校生のうちには彼女できねーだろうなー」
クロ「俺もー 研磨のせいだな、責任とって」
「…は?」
夜久「なんか奢れ研磨」
「いやだよ意味わかんない」
クロ「…あ、そういやお前ら体育倉庫で何してたの?」
「 ! 」
あの暗い人混みの中で何で見てるわけ…