第29章 山茶花
ー穂波sideー
「あれ?薔薇の他にも花束もらってるー!」
荷物を持って古森くんと聖臣くんに合流。
駅に向かって歩き出す。
『あ、うん。生徒さんがね、見に来てくれて。くれたんだ』
「生徒さん?」
『週一でフラダンスを教えてて』
「え!教えてるの? すげーかっけー」
『そんなことないよ。できることやってるだけ、部活してないからさ。
古森くんだって、やろうと思えば、小学生とかに教えれるでしょ。そういうこと。
毎日部活して、身体整えて…ってしてるみんなは相当かっこいいよ』
「…そっか。ありがとう! あ、薔薇の意味調べた?」
『あ、ううん、まだ調べてない。良いんだ別に、彼もそういうつもりじゃないし。
どんな意味があっても、お花を贈ろうって思ってもらえただけで嬉しい』
「へぇ、かわいいね、穂波ちゃんって」
『へっなんで? なんでそうなるの? 今のどっちかっていうと可愛げなくない?』
「え!どこが?」
「………」
『どんな意味だろう〜?って気にした方が可愛らしいのかなぁ、とか』
「ふーん。まぁ、それも可愛いけど。 どっちもかわいい!」
そう言って無邪気に笑う古森くんがかわいいよぅ
「あー腹減っちゃった。聖臣は?」
「…うん、俺もすいた」
「穂波ちゃんはどう?お腹。家で食べるの?」
『あーっと、そこのカフェで食べてこうと思ってた』
「へーよく行くの? 彼と待ち合わせ?」
『ううん、一人でだけど、そう、よく行くとこで』
「えー!俺も一緒に行きたい」
『え、あ、うん、じゃあ行こう』
「聖臣は?」
『綺麗にしてるお店だよ…ってわたしずぼらだから説得力ないかもだけど』
「行く」
いつものカフェに3人で入って一緒にご飯を食べた。
懐っこい古森くんと、
慎重でマイペースな聖臣くん。
マイペースって、せっかちもゆっくりも全部含めてマイペース。
微笑ましくて、暖かい時間。
途中でカズくんとカズくんパパと周平がお店に入ってきた。
文化祭は途中で抜けてスケボーしてたって。
カズくんはあからさまに嫌そうな顔をしてたけど
まぁなんとか周平と古森くんのコミュ力のお陰でなんとかなった。
春高まであと1ヶ月とちょっと。
応援したい学校がまた一つ増えちゃったな。