第5章 夏
手を繋いで家に戻る。
『クロさんたちどうしてるかな〜』
「………」
『…あれ?あ!花ちゃん!花ちゃーーーん!』
向こう側から花ちゃんが歩いてくるのが見えた。
花「あ、なみ!お祭り行ってたの?」
『うん!あ、研磨くんっ、△△駅のレッスンの先生の花ちゃんだよ。
花ちゃん、彼がわたしの大事な研磨くんです』
花「わぁぁぁ!研磨くん!やっと会えた。はじめまして、花です。よろしくね」
研磨「…あ、はい」
『今からうちに行くところ?』
花「そうだよ〜まだ食べものあるかなぁ〜」
『何かしらあるよ絶対。…あ、帰ったら桃食べたいな。なくなってないといいなぁ』
花「研磨くん、なみね、研磨くんとお話しするようになってから、
踊ってる時の空気がね、前よりもっと柔らかくなったんだよ。
だからね、踊りをみてね、なみが研磨くんのことどんなに大好きか、伝わってくるの。笑
なみは別に、研磨くんのことだけを想ってるんじゃなくて、
自然とか環境とかいろーんなものに愛の溢れた子で、それが踊りにも現れてるのだけど…
…って、何言ってるかわかんないよね。笑」
研磨「……………」
『もう大人たちいっぱい飲んでるよねぇ〜 カズくんどうしてるかな』
花「カズくん?」
『小学生の男の子なんだけど、今年、歳近い子がいなくって。…まぁ居ても一緒かもだけど』
花「…そっか。何してるかな。」
『研磨くんも、ゲームしたかったらしてね』
研磨「……ん」
花「…なんかさ、私に会っても慌てて手を離さないところに今更きゅんきゅんしてきちゃった」
『花ちゃん、唐突。笑』
花『いや、日本でしかも高校生でそんなのって貴重よ〜 きゅん」
言われてみると、そうかもな。
腕組んだり、手を繋いでて誰かに会っても研磨くんはそのままだ。
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家に帰ると、大人たちは庭やダイニングでお酒が進んでる。
クロさん、夜久くん、遊児はツトムくんと一緒にキッチンにいて、
カズくんはやっぱりソファでゲームをしていた。
ツトムくん、みんなのこと気遣ってくれたのかな…
ふざけていつもは猿っぽいけど、仕事はすごくできるみたいだし、
年下の子たちにはさりげなく面倒見がいいんだよな。