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【ハイキュー】   “波長”   【孤爪研磨】

第29章 山茶花


ー研磨sideー






「ねぇ、穂波、三曲目なんて曲?」






いい曲だった。
穂波っぽかった。…けど、でも、ちょっと怖くなった。

いなくなっちゃうのかな、みたいな感覚と
海とか波って言葉が歌詞に入ってて
前に感じた事と妙にリンクしちゃって。

気にしてもしょうがないことなんだけど…






『波よせて』

「…波よせて」

『もともと演奏する予定だったんだって。
それをわたしにってピンときてくれたらしくて』

「…へぇ え、穂波のとこは誰が歌う予定だったの?」

『ピアノの子』

「…へぇ、かっこいいね」

『ね。わたしもそう思った』

「歌の中で少年は死んだの?」

『…どうなんだろうね、それは聞き手に委ねられてるんじゃないかな。
わたしは生きて海の向こうで彼らしくいると思うけど』

「………」

『…あまり好きじゃなかった?』

「いや、だいぶ好きだったけど… ちょっと気になっただけ」

『…わたし、前変なこと言ったからそれ思い出した?』

「…ん?」

『あ、いや、気のせいならいいんだけど…』

「あぁ、うん。変じゃないけど… タヒチの波の話とか、思い出した」

『…不安な気持ちにさせちゃってごめんね』

「あ、いや、そういう意味じゃないんだけど」

『研磨くんがいる世界から、いなくなんてなりたくないよ』

「うん」

『研磨くんといる世界は、どんな綺麗な波より、風より、美しいんだよ』

「…ん」





なんかおれ、勝手に不安になって
逆に穂波に心配かけちゃってるじゃん

…ださ






『あ、終わった。焼きマシュマロくんたち、上手だったねぇ』

「…うん、よかった」

『まとまってたよねぇ、まだ一年生なのに。来年も楽しみだね』

「…だね」






…なんかあれだな。
いいライブって、酔うな。

演奏とか歌だけじゃなくて、
照明とか湿度とか温度とかぜんぶひっくるめたこの、空気に。

欲しくなる、穂波のこと。
かわいくて色っぽくて仕方ない。







『お、アンコールかかってる』

「…へぇ」

『……… なかなか出てこないね。やらないのかな』







♪ピーンポーンパーンポーン♪






「…?」
『…?』







演出?







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