第29章 山茶花
ー穂波sideー
──「うわ!それ研磨さんにもらったの?」
『うん。綺麗でしょ』
「うん、綺麗だし… え、意味わかってる?」
あー、薔薇の花は本数で意味があるのは聞いたことあるけど…
ツトムくんが選んでくれたって言ってたし。
『ううん、知らない。研磨くんもそんなつもりないはずだよ』
「じゃあ、後で教える。ググっちゃだめだよ!」
『あははっ ググらないよ 笑』
リハーサル室に入ってすぐ、そんな会話はしたけども…
こんな風にMCに使われるなんて…!研磨くん、ごめんー!
「…ってこれ、俺が言うことじゃないよな」
『ん?』
「いや、本数とか言いそうになったけどこれあれだ、言っちゃダメなやつ。
俺、研磨さんに嫌われたくない」
『あはは 笑』
「いや、ここで俺が言ってもね。
また後で研磨さんと一緒にググってくださーい。
みんなは薔薇の本数何本だったんだろー?って妄想して楽しんでくださーい。
…ていうか研磨さん、無自覚でやってるんでしょ?
ずるいよね、研磨さんって。
俺思うんだよ、研磨さんはズルい!」
『あははっ うん、研磨くんはズルい』
「…俺さ、穂波さんかわいいなー
研磨さんとほんと良い感じだよなー ってずっと見てたのね、入学してから」
『わぁ』
「でさ、今回まぁ縁があってこうやって…
あ、穂波さんだけじゃないんだ、研磨さんともね、話したりしたんだよね
まぁ昨日今日の話なんだけど。したらすっげーわかるの」
『…』
「一見ちぐはぐな感じするじゃん、2人って。
え、どうやって出会ったの?どうやって惹かれあったの?
いつも何話してるの?デートでなにすんの? …みたいな。
でもねー、2人を知ると合点承知!って感じなんだよね」
『…』
「一言でいうと、何もしてない
なーんにも無理してなくって、それぞれがそれぞれらしく一緒にいる。
でも想いあってる。みたいな」
『…』
「…あれ、あれが一緒なの。2人の。波長?
表現の仕方とか好きなものは違ったりするんだろうけど、底に流れてるものが一緒。
だから、こんな風に収まってんだなぁ、みたいな? …何これ、なんの話。
ていうか俺らまだ知り合って1日しか経ってないのにこんな語ったら
黒尾先輩とかに絞められるかな…」