第29章 山茶花
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「ありがとうございまーす!
俺らが2、3歳の頃の曲だけど、歌ってもらいたくて選曲しましたー
すごい、穂波さんっぽいなーって …知らんけど」
「お前、誰なん?w」
「いや、完全にイメージだってば…
なんかたまに消えちゃいそうじゃん、こんな生命力強そうなのに」
「ポエミーだねぇ」
「どっかにふーって消えていっちゃいそうだなー
あ、研磨さんが繋ぎ止めてくれてるのかなーみたいなこと感じる。
…俺ね、ファンなんです、研磨さんとなおさんの。なんか良い歌書けそう」
…おれの名前、そこでそんな何度も言わないで欲しいけど
でもこいつ、嫌いじゃない。
なんでこの歌がなおっぽいってわかるんだろ
賢いとは違って、
想像力と勘みたいな、そういうのがきっと良いんだろうな。
「で、穂波さんは実際どう思った?
この曲知らなかったんだよね?」
『…うん、すごく共感できるなぁって思った』
「…研磨さんの身体に溶けて一つに重なりたいって思うことがあるってことで?」
「NG、NG!際どい!」
『うーん、ちょっと違うけど、ナイショです♡
世界中に自慢したいくらい幸せで溢れてるけど、
同じくらい誰にも言いたくないの。独り占め、したいの』
「くっそかわいい。くっそ羨ましい。ムカつく!」
『あははっ ごめん、怒らないでー笑』
「あ、自慢って言えばさ、言っても良い?これここで言っても良いやつ?」
『え?なんで?自慢聞きたい、なになに?』
「惚気」
『人の惚気大好物だよ〜聞かせて〜』
…ほんと、普通にいつも通りだな、穂波。
てか、独り占めしたいって… かわいい。
「いや、俺のノロケじゃないんだけど…
今日穂波さん、研磨さんに薔薇の花束もらったよね!」
『へっ? あぁ、うん。綺麗な薔薇の花、もらった』
「薔薇の花束ってさ、本数で意味があるの、みんな知ってる?」
…え、知らないけど。
うわ、ツトムくんやりやがった。