第29章 山茶花
ー研磨sideー
穂波はみんなのとこに駆け寄っていって、
ありがとうを連発してた。
ツトムくんが持ってきてくれた花をおれが周平から受け取って。
ツトムくんは穂波のこと撮影しにきたかったけど、
用事があって間に合わなそうだってことで。
でも、終わる頃には間に合うから花束持ってこうかー?って。
ステージ終了後には花でしょ、とか言うのでお願いした。
結局この後バイトが入ったから、もういないんだけど。
花束って言ってたのに、バラが9本。
もっと、なんかいろんな植物が混ざったの想像してたけど…
穂波がみんなのとこからこっちに戻ってきたから、
バラの花を渡した。
驚いた顔して、それから顔が綻んで、ふわって笑った。
目の前にある花よりずっと綺麗な花みたいな笑顔で。
それから今、一緒にたこ焼きとかサンドイッチを食べてる。
「穂波ちゃん、俺らそろそろ学校に戻らないといけないからこの辺で」
『あ、京治くん。そっか。そっかそっかぁ』
「…笑」
「本当、来てよかった。すごい良いものを見させてもらった。ありがとう」
『ねぇ!あ、京治くん、落語どう思った?
わたしちょっとハマっちゃいそうで、それで京治くんもじゃないかなって思ったの』
多分赤葦は穂波の踊りが良かった、ってことを言ったんだと思うんだけど、
穂波は全然そんなこと思ってないんだろうなっていう返事をしてる。
「あぁ、うん。落語、すごく面白かった。わかるよ、色々聞いてみたくなった」
『ね!わたしきっとあの子と友達になるから、
またみれる機会があったら連絡するね!』
「…連絡…… あぁ、うん。ありがとう。よろしく」
『…じゃあ、また春高で、かな?
あ、〇〇さんとね、今やりとりしてるよ。 …んーと、いろいろはまた連絡するね!』
「連絡…… うん、楽しみにしてる。じゃあ、孤爪もまた」
「…ん。ばいばい」
連絡っていう度、赤葦も連絡…って呟いてたな 笑
穂波はどうやって連絡するつもりなんだろう
手紙でも書くのかな。