第29章 山茶花
ー穂波sideー
「おれに機嫌とらせてって思った」
…ずるいなぁ、研磨くんは。
「…ってたこ焼きは海くんだけど」
『…ふ 笑』
「木兎さんもなんか買ってきてたよ、食べ物じゃないけど」
『…笑』
「赤葦も、犬岡も、福永も、カズマもクロも周平も」
『…ははっ 笑』
おれに機嫌とらせてのあとで、
すごいみんなの名前が出てくる。笑
すごいかわいいし、もう、ほんとずるい
「…だからなんかすごいいっぱいあるよ、みんなのとこ行く?」
『…うん、行く』
「おれがさ、何も買ってないのなんでだと思う」
『…みんなが買ってたから?』
「穂波のこと真前で見たかったから、動きたくなかった」
『………』
やっぱり、ずるい。
研磨くんはずるい。
「そしたら最後、穂波、おれのこと見て笑った」
『うん。 …だって研磨くんが大好きだもん』
「うん、おれも思った。うわーおれ穂波のこと大好きだなって」
『………』
「大好きだよ、穂波。 だから、独り占めしたいこともある。
そういうわけで今は我慢するけど、それ以外は今日我慢しないしできないから」
『………』
「行こっか、荷物は置いてくんでしょ?」
『うん』
「水筒は?」
『あっちにある』
「じゃあ、いこ」
…結局、研磨くんに機嫌とってもらっちゃった。
自分の機嫌は自分でとりたいって常々思ってるけど…
でも今のはいいかなって思えるような。
手を繋いで控室を出る
・
・
・
「…あ、うん。 わかった、今行く。 …ありがと」
ステージを見続けるのもいいけど、
ちょっとまったりしたいなぁと体育館をでてふらふら歩いてる。
研磨くんは誰かと電話してた。
「…中庭にみんないるって」
『あ、うん。 …たこ焼き』
「…ふ 笑 お腹すいた?」
『うん、お腹すいた。研磨くんも食べてない?』
「…うん、食べてない」
『じゃあ一緒に食べれるね、食べようね』
「…ん、ありがと」
中庭に着くとほんとにみんないた!
音駒バレー部に光太郎くんと京治くん。
カズくんにカズくんパパ、周平。
わぁ〜なんか嬉しいなぁ〜