第29章 山茶花
ー穂波sideー
「いや、それはないでしょ」
あっさりと言い返される。
『ふふ、そうだよね。でも、そうだったの』
「…それであんなのできるの?」
『…あんなの?』
「…あんな、すごい踊り、そんなこと考えながら出来るの?」
『…前、森然高校で感じたみたいな、研磨くんといるときのがぶわぁーって湧き出て、
それからもう、研磨くん大好きーって頭の中にずっといた』
「…笑 ちょっともうよくわかんないからいいや」
『…ふふ、うん。うまく説明できる気がしないからテキトーに流しておいて』
カシャカシャッ
ドアを開けて抱きついたまま話してたら、
シャッター音が聞こえる。
『…あれ』
「………」
「あっ、すみません。お二人が、あまりにも…その…良くて」
『…?』
「あっ、私、写真部に所属してます!これ、腕章もあって、公式です!悪用しません!
文化祭で撮った写真も、何かに使用する際はその前にご本人に確認しますので!!!」
『…ふふ。 嬉しいし、こっそりいるのが上手だね。すごいすごい』
「…あっありがとうございます! あのっ 大変失礼を承知でお願いしたいのですが…」
『…?』
「控室に一緒に入っても良いでしょうか?」
『へ?』
「お着替えなんかは撮らないです!もちろん!ただ、こう舞台裏というか…
メイク落とされるとことか… うまく撮れるかはわかりませんが」
『あぁ、うん!いいよ、どうぞ〜』
「化粧、落としちゃうの?」
『へ? あ、研磨くん、お化粧してた方が好き?』
「ううん、どっちも好き。でも初めて見たから、そういう化粧」
『…落としちゃうの?、か』
「…?」
『ごめん、やっぱお化粧落とさないや〜 ふふっ』
「あっ全然!ほんと、私のことは空気だと思って、お2人のいつも通りでいてくだされば!」
『ふふっ 空気とは思わないけど、気にしないで過ごすね』
1秒でも早くお化粧を落としなくなっちゃうけど…
せっかくだし、今日はこのままにしてようかな。
この後ももう一度ステージ立つし…