第5章 夏
研磨「ちっちゃいおれって…」
クロ「あの、玄関開けてくれた子」
研磨「…あぁ」
クロ「ひたすらずっとでゲームしててさ、なんかお前みたいだから隣座ってみたんだよ」
研磨「………」
クロ「…なんも言わねぇの 笑」
研磨「…いきなりこられても、言うことないでしょ」
クロ「まぁなー、でもなんかこの環境でさ、無理やり引っ張り出されそうなこともありそうじゃん。
なんつーの?なんか、わかんねぇけど。それがないんだなぁって思ったんだよ。
だからって無視してるわけでもねぇし…人は多いけど 研磨も居心地悪くねぇんじゃねぇのって」
研磨「………あぁ、うん。そうだね」
『ここにおむすびとか置いておくね〜♪』
穂波の声がする方を向くと、
たくさんのおむすびが乗った大きなお皿を机に置いていた。
何度か中と外を行き来して、何皿か料理をテーブルに並べてから
とことことこちらに走ってくる。
『研磨くんっ』
手にはおむすびや漬物の乗ったお皿。
『研磨くんおむすびいる?』
「…あ、うん。漬け物も、食べたい」
『はい、好きなのどうぞ。クロさん、楽しめてる?』
クロ「おぉ、すごい楽しませてもらってますヨ。夜っ久んはツトムさんとしばらく話し込んでる』
『そっか、よかった。ちょっと静かなとこ行きたかったら、
階段登ったとこに本とかカウチの置いてある踊り場的なとこあるからね。
そこも人いるかもだけど』
クロ「別に一人になりたいわけじゃないけど、ちょっと建物興味あるから行ってこようかな。
そろそろ夏祭り行くんだろ? 楽しんでね〜」
研磨「…ん」
『はーい、またね』
研磨「…それ食べたら、夏祭り、行く?」
『うん、行こうっ』
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『ちょっとお財布取ってくるねっ』
穂波は部屋に行って、巾着を持って出てきた。
着物と同じような配色の小さな巾着。
たすきは外れていて、袖がおりてる。
こっちもやっぱり、すごくかわいい。
『お待たせっ』
「…ん。穂波、浴衣姿、かわいい」
『…ん。ありがと』
家にいる人に出ることを伝えて、靴を履いて外に出る。