第5章 夏
ー研磨sideー
遊児と穂波の仲の良さに、
胸のとこがザワザワしたけど、落ち着いてきた。
『…研磨くん、喉渇いてない?』
「…のどかわいた」
『…お茶でいい?』
「…ん」
『おむすびとか、そういうの持ってくるのが終わったら、研磨くんとゆっくりさせてもらおっ』
グラスに注いだお茶を手渡しながら穂波は言う。
遊児に感じたザワザワも、前にツトムくんに感じたのも、
穂波の内側に対してじゃなくて、相手の近さとか、なんだろそういうの。
穂波が隣に来てしまえば、するすると消えて無くなる。
不安みたいのは全く感じなくて、単純に防衛反応みたいな感じなのかな…
「…!」
穂波はいきなりおれの胸元に顔を近づけて、
クンクンと匂いを嗅ぐ
『…研磨くん、桃の甘い香りがする。わたし桃大好きなんだぁ』
「…ん。」
『このまま、顔埋めたくなっちゃう 笑 研磨くん、なにかとってこようか?』
「…いや、大丈夫。自分でする」
『うん、好きなもの食べてネ。ちょっと中行ってくる』
そう言ってふわっと向きを変えて、軽い足取りで家の中に入っていった。
…蝶々みたい
…お腹空いたな
お皿と箸をもって炭のとこにいく。
「やぁ、研磨くん」
シゲさんが話しかけてきた
シゲ「来てくれてありがとう。穂波が野ウサギみたいに喜んでる」
…野ウサギか。足取り軽く、ぴょんぴょんって……
研磨「…あ、はい、こちらこそ、ありがとうございます」
シゲ「騒がしいのもいるけど、君は君のペースでラクにしてていいからね」
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腹半分くらい食べてから、空いていた椅子を
庭の人があまりいないところに持っていって座った。
ポッケから携帯を取り出してゲームを開く。
クロ「よぉ、研磨。…すごいとこだな」
研磨「………」
クロ「お前が言ってた通り、人がたくさんいる」
研磨「…うん」
クロ「バレーに関わってる大人しかあんま出会ったことなかったから、新鮮だな。
穂波ちゃんがなんであんな風なのか、すんなり理解できるワ」
研磨「…うん」
クロ「…で、ちっちゃいお前みたいなのが、あそこのソファでずっとゲームしてんだよな」