第29章 山茶花
ー古森sideー
マジかー…
「なぁ、聖臣、なんかめちゃくちゃすごくなかった?」
「…すごかったな」
「鳥肌すごいし、なんていうか、空気変わったっつーか」
「…浄化作用」
「いや、言い方。笑 でもたしかに浄化される感じあったよな。やばくね?あの子」
「………」
聖臣が驚いてるのがわかる。
いやこれはまぁ、誰だって驚くわ。
…持ってかれたー
すこしすると、民族楽器の太鼓の音みたいなのが流れ出した。
さっきと曲調全然違うな…
満面の笑顔でステージに出てきて踊り出した穂波ちゃん。
衣装替えしてる。
白い衣装。
長いスカートとストラップのない水着みたいなトップス。
所々にシルバーの装飾が施されてる。
頭には生花でできた花冠。
…普通に高校生の文化祭では露出多いんじゃない?って思うけど、
全っ然、いやらしくないな。 …それが、この子の魅力の一つかな。
踊り出したのは俺、知ってるやつだった。
好きな女優が出てる映画で、その人が最後にソロで踊るやつ。
…やっば。 これ、ちょっと反則じゃない?
好きになっちゃいそう …ってきっとそれ俺だけじゃないよな。
ふつーに男子が思うやつだわ。 不毛不毛。
映画のやつが終わって、もう一つ、
もっとガチな感じのを踊ってからまた、満面の笑顔で礼をしてはけていった。
「引き込むねー 最初のと全然違うのに、
一貫性を感じるのは、あの子の飾らない感じがあるからかな」
「………」
「…ねー聖臣、大丈夫?」
「冷えそうだな」
「…笑 あ、衣装の心配してるの? あれだけ踊ってるから大丈夫でしょ。
最後の方すっごい速さで腰揺れてたよね、一歩間違ったらちょーエロいのに、
エロくならないのがすごいね」
「…いや十分エロいだろ」
「聖臣! そう思うんだ! 聖臣も!」
「………」
「色気がないわけじゃないんだよ、むしろ色気はすごいんだよ。
でもさ、いやらしくないよな。 健康的で、そうだな、十分エロいな」
「………」
「えー、聖臣が乗ってきたから話したのに、その顔で見るわけ?
まー、いいや。 …まだ終わりじゃないのかな、アナウンス入らないね」
もっと見れるなら、そりゃもう、もっと見たい。
次はどんなダンスだろ〜