第29章 山茶花
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「光太郎くーーーん!京治くんっ!」
穂波ちゃんが駆け寄ってくる。
後ろから孤爪が歩いて向かってきている。
「穂波ちゃーん!会いたくて来ちゃったよー!」
なんの躊躇もなく、木兎さんと穂波ちゃんは大きなハグをする。
『わたしも会いたかったぁ!梟谷の制服、初めて見た。文武両道感ある!』
「ぶんぶりょうどう…?」
『ふふっ ただのイメージだからスルーで!』
「穂波ちゃんのセーラー姿たまんない!
あーやっぱ来てよかった!なぁ、赤葦?」
「…えぇ、そうですね。制服姿、とてもかわいいです」
『京治くんっ!』
ぼふっと俺の胸に飛び込んで来る。
ジャージの時より一層、どこに手をやっていいのかわからない。
『…今日、日曜だけど制服なの?』
「あぁ、俺らも文化祭で。でも2日目は俺も木兎さんも特にすることなかったから。
こっちに来てみようか、ってそういう話になって」
『…そっか、何時までいれるの?』
「…え? えっと、夕方には帰るよ。部活があるから」
『そっか!じゃあ、それまで楽しんでね。焼き芋がおすすめ!』
「…焼き芋。 穂波ちゃんはこれからどこへ?」
『体育館でいろんなステージするからそれを見に。もうすぐ始まると思う』
…一緒に行くのは、孤爪に悪いよな。
気がつくと黒尾さんと海さんがいて木兎さんと話してる。
さっきの大声でやって来たのだろう。
「じゃあ俺らも一緒に手品見に行こうぜ!」
「いえでも、2人の邪魔をしちゃ…」
「なーに今更!さっきだってチューしてたし、2人はいつも一緒にいんのー
俺らも一緒に行っていいよね、ね? ね?」
『…うん!もちろん!』
そんなわけで一緒に体育館に向かうことに。
「いいのか、孤爪。 というか、悪い、邪魔して」
「…いいよ、別に。穂波楽しそうだし。
それに、おれ今日、普通にしてるから。
人目もあるし、とかなんかいますごくどうでもいいんだよね」
「…? そうか… そういうことも、あるよな」
今いちその意味はわからないが、
心底そう思ってるといった空気だけは伝わって来た。