第29章 山茶花

夜久「お。研磨がイライラしてる」

山本「でも研磨、さっきのはちょっと冷たいんじゃねーの？」

「………」

クロ「でもな、何言っても…って感じあったからな、あの子」

山本「それはまぁ…そうかもしれないっすけど、
でも… 無理。って切り方って結構キツくないっすか？」

クロ「…それが響く子なら、２回も無理って言わせないっしょ」

山本「…そーっすか　そういうもんっすか」

クロ「断る側、答える側だけに誠実さを求めちゃあいけないってこと。
　　それに研磨が不誠実だったとも俺は思わねぇしな。

山本「…あぁ、そうっすね。それはわかりやすいっす。ためになります」

クロ「山本は、相手を気遣いすぎて空回りしそうだけどな」

山本「黒尾さんっ、そんなぁ〜…」

海「今のは、山本は相手を思いやれる優しい心を持ってるって意味だぞ」

山本「くっ　黒尾さん〜！」

クロ「だぁーったから、やめろ山本！鼻水つけんな！」







誠実さ… うん、今のはクロが言ってることすごい納得できた。
そういえば、去年も好きって言ってくれた子がいたけど、
その子には別にこんな嫌な気持ち起きなかったし。

…あの子は好きだって言ってくれただけだったよね。
付き合ってとか、ましてや別れてなんて言ってこなかった。
別れて、って言うことがだめなわけじゃないんだろうけど、
なんか… さっきのは生理的に受け付けなかった。








灰羽「おはざーっす！　あ、研磨さん！」

「………」

灰羽「外で一年の子が研磨さんのこと待ってますよ！呼んで来てって言われました！」

「えー…」

灰羽「…泣いてましたけど」

「えー… ちょっと、クロ………」

クロ「自分でどうにかしなさいよ。俺に投げるのはそれは流石に不誠実」






…あーぁ、意味わかんない。






海「まぁ、なかなか引いてくれなそうな様子だったし、
　一緒に部室から出て行くぐらいやってあげてもいいんじゃないか？
　研磨、俺もう校舎へ行くし、一緒に出るか？」

夜久「おー俺も海に同感ー！っつーか、俺、朝イチで当番だったわ！」

「…ん。　一緒に出る」