第29章 山茶花
ー研磨sideー
11月25日(日)
穂波と電車で一緒になって、
学校までクロと3人で歩く。
昨日の部活前もだし、今も。
クロは女子に待ち伏せされて告白ってやつをされてる。
…みんな告白ってなに言ってるんだろう。わざわざ。
クロを見てると友達とか知ってる人もあるけど、
知らない人から、初めて喋る人から告白されるってこともあるみたいだし。
それでも、付き合ってって言うのかな。
それで、付き合うっていう選択肢はあり得るのかな。
…やっぱおれには、よくわかんないや。
「穂波ちゃんは今年は特になし?」
『…ん?なにが?』
ゲームしながら考え事してる間にいつの間にかクロがまた合流してた。
「待ち伏せとか、告白とか」
『あ、うん。ないよないよ〜 ふふ』
「…へぇ。 研磨幅効かせてんのかね。…まぁ、昨日あんななってたしな」
『…あぁ、あれ何だったの?』
「なんかジンクスができてるらしいよ 笑」
…昨日部活のあと聞いた。
ほんと、意味わかんない。
根拠のない噂。ジンクス。
写真部のやつがカメラ構えてたのはいいとする。
写真はすきじゃないけど、ツトムくんとかシゲさんとか、
カメラを通して一瞬を切り取ることができる人たちを見てて多少寛容になってる。
被写体がおれらなのは意味不明だけど、でもまぁ、しょうがない。
公式だし、一応。あっちは腕章ついてて、おれらも文化祭参加してて。
「穂波ちゃん、今日午後一発目?」
『うん。見に来てね、とはなかなかね、言えないチキンハートなんだけど…』
「…笑」
『でも、文化祭で踊ってみようかなって思ったのは音駒バレー部の存在あってこそだから』
「お。」
『…あぁ、でも言えない』
「…笑 言われなくても見に行くんで♪ お臍拝みに行かせてもらうんで♪」
『あはは!お臍ね、鉄くんのためにお臍綺麗にしとかなきゃ』
「うん、いつでも舐めれるようにしといて♡」
「…クロ 下品」
「研磨っ! その切り込み方、結構刺さる…」
手品とか落語を一緒に見たいって穂波が言ってて。
そういうのはまぁ、見てみてもいいかなとか。