• テキストサイズ

【ハイキュー】   “波長”   【孤爪研磨】

第29章 山茶花


ー穂波sideー






研磨くんが夜久さんの声のする方に向かって顔を上げると、
視界が広がって、今まで見えなかった辺りもしっかりと見える。







『………』

「…なにこれ」








人がいっぱいいる。
写真部の腕章をつけた人がシャッターを切ってる。









「穂波、行こ」

『…あ、うん。 山本くんっ、椅子ありがとうね。ごめんね、長居しちゃって』

「…はぁ……」







研磨くんに手を取られ歩き出すと、
人だかりがさーと動いて道が開く。








「…みんな暇なのかな …意味わかんない」

『………』

「…はぁ」







研磨くんがイライラしてる。







「…屋上いこ」

『うん、あ、でも今何時かな』

「…まだ当番まで1時間くらいある」

『そっか、じゃあ、屋上いこ』









廊下を歩いているうちに、寒く感じてくる。
さっきまでぽっかぽかのとこにいたから。









屋上に続く階段を登ってるといい匂いがしてくる。
…これは、マシュマロが焼ける匂い?







屋上の扉の前の踊り場にストーブを持ってきてあったまってる子達がいた。
…一年生かな?







「あ!運天先輩だ!」

「うっわ、まじだ。こんちわーっす!」

『…こんにちは』






わたしの手を握る研磨くんの手に力が入る。






「マシュマロ食います? コアラのマーチもあります」

『…んーと、いまお腹いっぱいで。ありがとう』

「ちぇ また食いたくなったらいつでもどーぞ」

『…ん、ありがとう。そこ、通してもらってもいい?』






ドアの前にいる子に声をかけると、
わざわざドアを開けてくれた。








…けど、研磨くんのイライラがさっきより増しているような。












/ 1804ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp