第29章 山茶花
ー研磨sideー
頭がガクンってなった時に眠りは浅くなって。
まだ眠ってるとはいえ、頭だけがちょっとぼんやり起きてるみたいな感じ。
そこで穂波がちゅううって感じでキスしてくるから
ぼんやりしながら あー いいかも。 みたいに思ったら
こてんって穂波の頭が離れてく。
「…ん。 足りない」
うっすら目を開けて穂波の頭を引き寄せて、
吸い付くみたいにキスをした。また目を閉じて。
まだ、いくらでも眠れそう。
ここ、すごいあったかい。
穂波もぼんやりした感じで応えてくれる。
ゆっくりと唇を離しながら目を開けると、
穂波も同じように目を開けたとこだった。
額を合わせる。
多分穂波もまだ寝たいなーって思ってる。
唇が触れそうで触れないとこで小さく顔を揺らす。
鼻と鼻を掠める。
『…ぽっかぽか』
「…ん」
『…ん?ここ、どこだ?』
「………」
『 ! 』
「 ! 」
額を寄せあって互いの顔しか見ていなかった目線を、
同じタイミングで横にずらす。
『…あれ?』
「…なんかちょっとよくわかんないものが見えた」
おでこをくっつけたまま小さい声で喋る
『…だよね。 …ん?なんで?』
「………」
『どうしよう、寝たふりしたら起きた時いなくなってるかな』
「…ふ 笑 いいよ、やってみる?」
『…でもここからどうやって?』
「…無理だね」
『この状態で気付いちゃっただけに動き辛いね』
「うん」
…ここは虎のクラスの持ち場で。焼き芋屋。
なんでか見える限りのとこに人がいっぱいいる。気がする。
まだちゃんと見てないけど。
「おーい、研磨ー!起きてんだろー?」
夜久くんの声がする。