第29章 山茶花
ー穂波sideー
「…なんか食べにいく?」
ゲームをしてる研磨くんの隣で本を読んでから
それからちょっと動きたくなって裸足で屋上をぷらぷらと一周して戻ると
研磨くんからの提案来たり。
『うん、いいね』
手を繋いで校内をあるく。ぷらぷら。
「海くんのクラス、たこ焼きだって」
『うん!』
「…笑」
『りんご飴はうちのクラスにあるし。わたしたちのお祭りの定番はばっちしだね』
「…ん。 先にたこ焼き買いに行く?」
『わたし今日ね、いつもよりきっと食べれるんだ』
「…笑」
『だから…』
「虎のクラスの焼き芋食べに行く?」
『うん!』
「…笑 焼き芋は外だし、たこ焼きも買って持っていこ」
『そだね、そうしよう』
山本くん達のクラスは、ドラム缶を使って石焼き芋をするって言ってた。
なんて素敵な!周りにいるとあったかそうだし。
海さんのクラスでたこ焼きを買って、
球彦くんのクラスでおでんを買って。
焼き芋スペースまで向かう。
「すごい、ほんとに食べるの…これと、焼き芋」
きっと多くの男子高校生は一人でぺろりと食べちゃうだろう量なんだけど。
「おー!研磨、来たか!」
「…焼き芋ちょうだい」
「おぅ!でっけーのやるわ!ほれ」
『山本くん、ありがとう』
「おー!そこの椅子座って食えよ、あったかいぞ。
どーせお前ら人混み避けて屋上かどっかにいたんだろ」
「………」
山本くんはジャケットもベストも脱いで、シャツも捲ってる。
そりゃ、ここにいたらそうなるか。
お言葉に甘えて、
店番?焼き芋番?の人用のアウトドアチェア2つを並べて座る。
「…笑 何から食べるの。どの手が空くの?』
『んと、そうだね。一旦たこ焼きは膝に置いて』
「…おれ、焼き芋剥くから穂波おでん食べてて」
『…ん』
「半分こしようとおもったけど、穂波のその辺り混雑しそうだし。
このままでいいよね」
『うん、ありがとう』
研磨くんが焼き芋をあーんしてくれて、
わたしはこんにゃくや大根をあーんして、
食べさせあいっこした。
膝にはたこ焼き。
遠赤外線で身体もぽっかぽかで。
いろいろと贅沢な時間。