第29章 山茶花
ー穂波sideー
今年、うちのクラスは甘味処。
何するかを決めるときにいろんな甘いものがあがって、
選びきれずに甘いもの色々になった。
みたらし団子、あん団子、チョコバナナ、
りんご飴、ワッフルサンド、アイスキャンデー
それから、個包装でパウンドケーキ、クッキー、マフィン。
2日目も出店しながら楽しむためにあらかじめ個装したのを用意しようということらしく、
わたしも昨日、焼く係をするため学校に来た。
実行委員や休日返上で準備をしている生徒が結構いて、
なんだか浮足立つような心地がした。
わたしと研磨くんは午後の最後の時間に当番。
それまでは2人のんびり過ごす予定。
最後の時間の当番になっちゃったから、
去年みたいに途中で帰ることができないけど、
今年は研磨くんは区の体育館で練習があるし、
わたしも最終の通しリハがあるから、まぁ何時だろうと同じこと。
早速、屋上に来てる。
もう11月も終わりで空気は冷たいけど、
風もなく、空は高く晴れていて心地いい。
大判のブランケットを持参したので、
研磨くんと一緒に膝にかける。
さすがに開始早々屋上に来る生徒はいないみたいでまだわたしたち2人だけ。
去年みたいに、人混みを避けたい人の逃げ場的な感じで
ゆっくり心置きなく過ごせるといいなぁ。
だってわたしたち、多分寒さに限界がこない限りここにいる。
「ねぇ、穂波」
ゲームを起動しながら研磨くんに話しかけられる
「オリエンタルダンスってさ、ほんとに大丈夫?…今更なんだけど」
『あ、うん、いわゆるそれじゃないよ。
好きなコンテンポラリーダンサーさんが振り付けして
オリエンタルダンスの先生と一緒にやったやつで。
物語みたいなやつ。衣装も綺麗でね…』
「…衣装もほんとに大丈夫?」
『…ふふ 大丈夫です。カズくんにも言われてさ。
そんな水着みたいな格好しないから大丈夫だよ』
「…臍」
『へそ?』
「臍はでるよね」
『…笑 お臍は…うん、出るや』
「…ん」
お臍…
海でウェットスーツ着てるとき以外は基本出てるし、
海外にいるときは普段からお臍出してるし、
ヨガやダンスのレッスンの時もお臍出る服着てるけど…
お臍、出しちゃダメだったかな。