第29章 山茶花
ー古森sideー
昨日今日といつも通りの一日練習。
明日は貴重なオフ。
春高前の終日オフ。
「聖臣〜」
「………」
聖臣が視線だけで返事するのはいつものこと。
「音駒、明日文化祭だってよー 今日もだけど」
「………」
「先週会った子、覚えてる?」
「………」
「ちょっと行ってみてもいいかなぁとか思うんだけど。
文化祭有名だし、音駒ってセーラーじゃん?俺、セーラー好きなの」
「………」
「いやそんな目で見ないでよ〜。
…でも、聖臣は行かないよね。インフルの予防接種受けてる人なんて少ないだろうし。
文化祭有名ってことは、人多いだろうしねー」
「…いや、行く」
「えっ まじで!?」
「…有名な文化祭なら、衛生管理もちゃんとしてるだろ」
「…聖臣、本気で言ってる?」
「………」
「何年何組かもわかんないし… あの子に会えるかわかんないよ?
ていうか、出席とらないから来ないってパターンもあるし」
「………」
「いや、うん。俺が言い出したんだけど…
俺はまぁ、確かにあの子可愛かったし、一緒にいて楽しそうだから仲良くなりたいなーとは思うけど、
あの子に会いに行くってわけじゃないからさ」
「………」
「でも聖臣は、その、あれだろ?」
「………」
「会いに行くんだろ?」
「…まぁ、また会えたらな、とは思うけどな。 …なんだよ」
「いやっ なんでもねーよ!じゃあ明日行くか!」
「………」
もしかしたらがあったら面白いなーくらいで、
まさかほんとに行くなんて思ってもみなかったけど…
やば!何この展開!
でも、彼氏とかいるんじゃないかなーとかは思うけど…
まぁ、聖臣も馬鹿じゃないし。
聖臣がこんな風になるの初めて見るし。
彼氏とか一旦置いておいて、聖臣のこと観察できるのはおもしろいかも…
くくく…
「………」
「あーごめんごめん!ちょっと考え事してにやけちゃって」
「………」
「あ、そろそろ午後練始まるかな」
やっば、にやける。