第5章 夏
ー穂波sideー
昨日の夜、遊児の家族が到着して、
今日は朝から賑やか。
遊児のお父さんはわたしのお母さんの弟。
毎年来るわけじゃないんだけど、今年は遊児が行くと言って聞かなかったらしい。
昼過ぎから、両親の友達がちらほら集まりだして、
BBQの用意が始まる。
毎夏一度、大人数で盛大にやる我が家でのBBQ。
夕方、なすやトマト、きゅうりを外で洗っていたら
お父さんが、研磨くんが来たみたいだよって教えてくれた。
表に回って玄関を開けると研磨くんたちとツトムくん、それから遊児がいた。
どうも遊児が研磨くんに絡んでるような感じがあったので、
お野菜のザルを遊児に持っていってもらうことにする。
気を取り直して…
『クロさん、それに夜久さん!来てくれてありがとう。
それ、重いよね?どれかもらうね』
クロ「いやいや、こちらこそありがとう。…かっこいい家だなぁ」
夜久「ほんと!すげーかっこいい!見惚れちゃった」
『…ふふ。それお父さん聞いたら喜ぶ。…後で紹介するね?」
クロさんの手からメロンを受け取り、ダイニングへ行く。
『みんなお土産ありがとう。果物いっぱいだぁ〜♪』
ダイニングのテーブルにお土産を置いてもらう。
夜久「果物とジュースは俺らから」
『クロさん、夜久さん、研磨くん、ありがとうね。みんなで食べようね。ジュースもおいしそう〜!』
研磨「…ん。」
ツトム「…穂波ちゃん?俺のことみえてるかな?」
ツトムくんが頭上からにゅっと顔を近付けてくる。
『ツトムくんっ、見えてるよぅ。研磨くんたちと一緒に来たの?』
ツトム「そうそう、バイト終わりにちょうど」
研磨「…お土産選ぶの、手伝ってもらった」
『そうなんだ!なんか楽しいね。ねぇ、ツトムくん、これ××××のパン?』
ツトム「そ!好きでしょ?」
『うん。久々に食べる!嬉しい!』
ツトム「その顔!みれただけで万々歳〜 なぁ、さっきの遊児ってだれ?なに?
みんなのとこ行く前に聞いときたいワ」
研磨「………」
すっかり遊児のことを忘れてた。
台所に目線をやると、おばちゃんたちに言われてとうもろこしの入った箱を運んでる姿が目に入った。
『…ちょっと待っててね?紹介するね』