第5章 夏
♪ピンポーン♪
「はーい」
ツトム「ツトムでーす。研磨くんもいまーす」
ガチャッ
扉が開く。
一同「………?」
あると思っていたところに顔がなくって、あれ?と思ったら
「どーぞ」
下の方から声がして、視線を向けると
ぶっきらぼうな小学生の男の子が出迎えてくれていた。
クロ・夜久「「おじゃましまー……す…え?」」
玄関からそのまま仕切りのない大きなワンフロア。
高い天井。向こうに見えるカウンターキッチン。
普通に想像するような玄関から見える景色じゃないから驚くよね。わかる。
男の子がスタスタと歩いて行ったと思ったら、
クリーム色の髪の毛をツーブロックにした人がやってきた。
紺地に同系色の縞模様の入った浴衣を着ている。
「よぉっ!研磨ってどいつ?」
…返事したくない感じだ
研磨「……………」
ツトム「穂波ちゃんの彼氏探してるの?………じゃ、それは俺ってことで♪
とりあえずお土産渡しにいこっかね」
夜久「うすっ」
ツトム「で、君の名前は〜?」
「遊児!…で、あんたが研磨?」
ツトム「さぁ、ね?様子見てるとこ」
「なんそれ、名乗らせといて言わねぇのかよ」
クロ「あ、俺は黒尾鉄朗。研磨じゃない。(よくわかんねぇけど、巻き込まれる前に名乗っとこ)
夜久「俺は夜久衛輔!よろしく、遊児!高校生か?」
『研磨くんっ!』
後ろから名前を呼ばれて振り向くと、
丸々ととした野菜を乗せた竹ザルを抱えて立ってる穂波が居た。
深い紺地に赤と白の椿模様の浴衣を着て、
その上たすき掛けをしてる………
……ふいうちすぎて、
………かわいいがすぎる
「あ、穂波。…浴衣、かわいい」
本音が恥ずかしげもなくぽろっと溢れる
遊児「研磨ってお前かよっ!なんで返事しねーの?」
『遊児、何してるの?』
遊児「穂波の彼氏に挨拶!でもこいつ全然話そうとしないんだよ」
『それは、遊児がぐいぐい行き過ぎなの。ちょっと遊児、これキッチンまで持っていってくれない?』
遊児「…ほい。なぁ穂波、東京来たんだから、デートしような?」
『…それ、ぽたぽた水落ちちゃうかも!遊児ダッシュ!」