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【ハイキュー】   “波長”   【孤爪研磨】

第29章 山茶花


ー穂波sideー




研磨くんの家に帰ってきて、台所に立つ。
お風呂はもういただいたし、 新婚さん気分である。
いや、通い妻? うふふ




「穂波、にやにやしてる」




こたつでゲームしてたはずの研磨くんがいつのまにか隣にいる。




『あっ 研磨くん えと…』

「…笑 変なこと考えてたんだ」

『え?いや別に変なことじゃない…けど…』

「…ふーん」

『通い妻みたいかなぁって』

「…通い妻?」

『ただ、今この状況が』

「…通い妻って何?一緒に住んでないってこと?」

『…ん?多分そうだね』

「…それでにやにやできるの?」

『え? あ、うん? 研磨くんのその、それになれるならニヤニヤしてられる』





奥さんに。お嫁さんに。妻に。





「いやなんだけど」





がびーーーん





「通い妻とかやだ」

『…』

「いやちょっと泣かないで」

『…』





一人浮かれてたところ
勝手に落ちてしまって涙が目にたまる





「あ、えっと、だから、通い妻が、いやなだけ」

『…』

「ていうか、ばかなの?おれも普通に赤ちゃんの話とか一緒に住む話とかしちゃってるじゃん」

『…』

「なのになんで、そこで泣くかな…」

『…ごめん』

「…いやごめん、おれもよくわかんないとこでむきになった」

『…いや、意味わかんない涙だったよね、これ。自分でも思う』

「…あぁ、まだ言えない。言いたいけど、まだ色々が整ってなさすぎる」

『…?』

「ちょっと時間はかかるだろうけど、待ってて」

『…?』

「あ、いや、待たなくていいんだけど… 今まで通り、この感じで、いよう」

『…?』

「そんなこと言われてもよくわかんないよね。…でもちょっと今はまだ言えないや」

『…』

「んと、分かってて欲しいのは、おれは穂波がすき」

『…ん』

「あと、将来のことも考えちゃってる。 …その、大学のあと、とか」

『…』

「…それだけ」

『…ん』




そう、一緒に住むお家のこととか。
赤ちゃんを産めるようになったらとか。
研磨くんはたまにぽろっとそういう言葉をこぼす。

ちゃあんと覚えてるのに。
忘れれるはずがないのに。
浮かれすぎて、ガクンと落ちてしまっただけ。
勝手に高低差についていけなかっただけ。
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